ウォール街、トランプ氏勝利に16年と同じ熱狂-株式市場の現実は24年
トランプ氏の勝利に対するトレーダーの反応の前提は、減税と規制緩和という同氏の公約が株式を新たな高みへと押し上げ続けるという考えだ。しかし、その反対側には、次期大統領の保護貿易主義的な通商政策や不法移民労働者の大量強制送還計画がインフレを招き、成長を脅かす可能性があるという見方がある。
「トランプ氏の勝利は、関税政策と移民政策により、インフレ圧力を高める可能性が高い」と、オスカー・ムニョス氏とジェナディー・ゴールドバーグ氏を含むTDセキュリティーズのストラテジストは8日のリポートで指摘した。
ウォール街の予測担当者が米連邦準備制度理事会(FRB)の7日にの利下げ後に最終的な利下げ幅予測を下方修正している理由が、これで説明できる。
TDセキュリティーズは、FRBが25年前半に利下げを一時停止し、トランプ氏の経済政策の影響を評価するだろうと予測している。ゴールドマン・サックス・グループは、5月と6月の利下げを予想していたが、現在は6月と9月に変更し、より緩やかなペースを見込んでいる。バークレイズのエコノミストは25年の利下げ回数予想を3回から2回に減らした。
BMOファミリー・オフィスのキャロル・シュレイフCIOは「債券市場が、トランプ氏の政策が実施されるかどうかを左右することになるだろう」と述べた。
株式市場では、16年と24年の違いは選挙前から明らかにだった。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のチーフ株式ストラテジストであるジーナ・マーティン・アダムス氏によると、10月には米国株がその他の国の株式をアウトパフォームしたが、これは選挙の年としては珍しいことだという。
投票後は、バリュー株への傾倒は16年ほど強くない。16年には、ラッセル1000グロース指数が選挙日後の3営業日にほぼ横ばいだったのに対し、ラッセル1000バリュー指数は急上昇した。今回はその逆で、グロース指数がバリュー指数を大きくアウトパフォームした。