弁護士の友人は「年収1000万円」ほどあるはずなのに、「生活が大変」と言っています。高年収でも大変なんてことあるのでしょうか…?
弁護士というと、高年収な仕事だと思う人も多いでしょう。そのため、もし弁護士の友人が「生活が大変」と嘆いているとしたら、不思議に思う人も多いのではないでしょうか。 一般的に、年収1000万円と言えば高所得者層に分類されるため、「お金に困るはずがない」と考えがちです。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? しかし、その裏側には一般的なイメージと現実とのギャップがあるようです。本記事では、年収1000万円の実態や弁護士の仕事の厳しさについて掘り下げてみます。
年収1000万円稼ぐ人の割合
まず、年収1000万円稼ぐ人がどのくらいいるのかを確認してみましょう。 国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円以上の人は全体の約6%未満です。つまり、100人中94人以上は年収1000万円未満の収入で生活していることになります。 年収1000万円は確かに少数派ですので、かなり高収入だと言えるでしょう。
年収1000万円の人の手取りはどれくらい?
年収1000万円は高収入ですが、一般的には収入が上がるほど、税金などの負担も増えていきます。 例えば、所得税の税率は所得が増えるほど高くなります。具体的には、課税される所得金額が195万円 から 329万9000円までは10%、330万円 から 694万9000円までは20%、695万円 から 899万9000円までは23%などで、「最も高い税率は45%」です。 また、厚生年金保険料は一律で18.3%の労使折半ですので、基本的には収入が増えるほど、納める金額も高くなります。 そのため、年収1000万円稼いでいても、税金や社会保険料を支払った後の手取りはだいたい700万円程度となります。1000万円稼いでいても、手元に残るお金は世間が想像するほどは多くないかもしれません。
弁護士の仕事の大変さ
弁護士というと、華やかで稼げる職業というイメージを持つ人も多いでしょう。確かに稼いでいる弁護士も多くいますが、実際には厳しい側面もあります。 ■仕事量が多い 弁護士の仕事は、裁判の準備、契約書の作成、顧客との相談、リサーチなど多岐にわたります。1つの案件に対して深く掘り下げる必要があり、じっくりと時間をかけた対応が不可欠です。 クライアントが抱える緊急事態に対して迅速に対応するため、深夜や休日に働くこともあるかもしれません。 ■責任が大きい 弁護士はクライアントにとって頼りになる存在であり、その結果には非常に大きな責任が伴います。特に訴訟案件では、結果次第で依頼人の人生が大きく変わることも少なくありません。 責任が大きいことはやりがいにつながるとも言えますが、人によっては精神的なプレッシャーを感じることもあるでしょう。 ■収入が不安定 弁護士の収入は、扱う案件の数や規模に依存するため、案件が減れば収入も減ります。特に独立している場合、この不安定さは顕著に表れる可能性があります。 また、弁護士の数は増加傾向ですので、新規顧客の獲得競争に敗れ、収入が不安定となるリスクも考えられるでしょう。
まとめ
年収1000万円という数字は確かに魅力的ですが、手取り額などを考えると「生活が極端に楽になる」とは限りません。特に、弁護士のような仕事には長時間労働や収入の不安定さがつきものです。 そのため、弁護士の友人が「生活が大変」と話していたら、それは謙遜ではなく、現実的な悩みかもしれません。「高収入=裕福」という先入観を見直し、背景にある努力や苦労を聞いてあげるのも良いのではないでしょうか。 出典 国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査 国税庁 No.2260 所得税の税率 日本年金機構 厚生年金保険料額表 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部