今日W杯アジア最終予選…森保Jは監督交替で「情報ゼロ」の中国から勝ち点3を奪えるのか?
森保監督が「彼」と言及した武漢足球倶楽部前監督のリー氏が、成績不振に伴って解任されたリー・ティエ氏の後任として、中国代表の新監督に就任したのは昨年12月上旬。最初の活動となった今月上旬の上海合宿には、総勢52人もの国内組を招集した。 9日間の合宿で絞り込んだ22人に、海外組と帰化選手を加えた26人が今回の来日メンバーとなる。ただ、前監督が看板に掲げていた帰化選手は2人が欠けている。 攻撃の中心を担ってきたFWエウケソンは、昨年末に新型コロナウイルスに感染して離脱。初招集されたFWフェルナンジーニョも、家族の健康上の問題を理由に直前で辞退した。来日したMFアロイージオも日本戦は累積警告で出場停止となる。 MFアランを含めたブラジルからの帰化組は全員が無所属で、昨秋以降にブラジルへ帰国している。所属していた広州FCの親会社、恒大グループの経営破綻に伴って常態化していた給与の未払いに嫌気が差し、事実上の契約解除を申し入れていた。 イギリスから帰化したDFティアス・ブラウニング(広州FC)も、オフのバカンス先だったアラブ首長国連邦(UAE)のドバイから来日した。アランを含めてコンディションに不安を残すなかで、リー監督は公式会見で心配無用を強調した。 「彼らはフィジカル面でも、メンタル面でもいい状態になっている」 海外組もエースのFWウー・レイ(エスパニョール)は日本で合流したが、DFリー・レイ(グラスホッパー)は負傷で辞退した。しかし、日本に負けた時点でグループBの2位以内に入る可能性が消滅するだけに、指揮官交代がチーム全体、特に国内組のモチベーションを高めるきっかけになってほしいとリー監督は期待を込めた。 「中国にはまだ希望が残っているので、それを捨てずに明日は全力を尽くす。自分のすべてを選手たちに教え込んできたので、素晴らしい試合になると期待している」
新型コロナウイルス禍で渡航制限が設けられていた中国国内ではなく、カタールの首都ドーハで行われた昨年9月7日の第2戦。日本はオマーン、中国はオーストラリアとともに初戦を落としていた国同士の対戦は、日本が1-0で勝利している。 日本のボールポゼッション率が70%に達し、シュート数でも18対3と圧倒。中国が放った3本はすべてゴールの枠をとらえなかったが、日本の枠内シュートも前半40分にFW大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)があげた決勝点の他はわずか1本にとどまった。 事前の情報では、中国のシステムは4-4-2だった。しかし、先発メンバーを見た日本のスタッフが「3バックに変えてくる」と進言。限られた時間のなかで対策を講じたものの、守備時には左右のウイングバックも加わって5バック状態となる最終ラインの前に、さらに3人の中盤の選手が並んで形成されたブロックを攻めあぐねた。 先に失点した中国は、後半途中から4-4-2にスイッチ。それまでエウケソンとウー・レイが担っていた攻撃にアラン、アロイージオが加わりながらも零封し、大迫の千金の一発を守った中国戦の特に後半を、吉田はこんな言葉で総括していた。 「息の根を止めることはできなかったけど、イレギュラーで失点する恐れもあった」 ある意味で日本をリスペクトしすぎた中国の前監督が採用した守備的な布陣は、日本を苦しめただけでなく、中国からも“牙”を削いでいたことになる。 同じ轍は踏まないとばかりに、失うものはない中国が積極的に前へ出てくる可能性もある。システムも含めたすべてが読めない状況で、前回同様にキックオフ直前まで情報を収集しながら、吉田に代わるキャプテンを託される遠藤は攻守の舵取り役を担うアンカーとしての立場から、公式練習前に臨んだオンライン対応でこう語った。 「いつもそうですけど、相手を気にしすぎるのはよくない。もちろん最初のところで、相手のシステムがどうなのかは見ます。それでも相手は二の次というか、まずは自分たちからアクションを起こして主導権を握り、アグレッシブに試合へ入りながら自分たちのよさを出していくことにフォーカスして、最大限の力を出していきたい」