「さすがに高い」「美味しいけど次はないかな」との声も…。100円台のRTD市場に殴り込んだ1缶298円のアサヒビール「未来のレモンサワー」。安値競争から逃れられる?
つまり、一部で話題のディストピア感を払拭するためには、リニューアルを繰り返せばいい。すでに味はお墨付きだから、あとは缶の中から浮かび上がるレモンに変革があれば、今後も消費者たちに愛される商品となる可能性はある。 とはいえ、298円にもかかわらず、「ディストピア」といわれてしまうのは、メーカー側からするとなんとも複雑な気分だろう。というのも、本当のディストピアのレモンサワーは、工業用アルコールのような味がするため、すでに市場に存在しない。
■話題性・奇抜さ以外に求められるもの ただ、繰り返しになるが、やはり未来のレモンサワーの脱安値化は、どちらに転んでもおかしくない。 というのも、300円あれば数十円足して350mlのストロング系を2缶購入することができる。500ml、1缶で満足できるのであればお釣りがくる。 確かに、未来のレモンサワーは居酒屋のレベルに相当近づいたかもしれないが、コンビニで購入できるレモンサワーという土俵に立てば、そこには-196℃ストロングゼロ、氷結、檸檬堂をはじめとした歴戦の猛者たちがいる。悲しいかな。この円安の時代、安いに越したことはないのだ。
そして、その中にはサントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」など、すでに「居酒屋のレモンサワーに引けを取らない」という自負を持っている商品もある。つまり、本格的な居酒屋の味はすでに市場にあるのだ(そもそも、レモンサワーに泡は必要なのだろうか……? )。 その一方で、アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶が登場したときと違って、居酒屋も時短営業していないため、家での晩酌をラグジュアリー化することはできる。ただ、これは偏見だが、レモンサワー好きが高い酒を飲んでいるのを見たことがない。あと、気の利いた店でないと、レモンサワーにレモンスライスが入っていない気もする。
そのため、これから未来のレモンサワーに求められるのは話題性・奇抜さだけではなく、「298円」という「高値」でどうやって戦っていくかということだろう。同商品の今後の展開がRTD市場のメルクマールとなることは間違いない。 【2024年9月27日14時25分 追記】初出時、内容に一部間違いがあったため、修正いたしました。
千駄木 雄大 :編集者/ライター