金原ひとみ×ゆっきゅん対談。新しい出会いを受け入れていくこと「中年になると、だんだん自分の世界が定まってくる」
金原さんとゆっきゅんにとって、お互いはどんな存在?
雑誌『anan』の連載企画での対談をきっかけに、初めて出会ったという金原さんとゆっきゅんさん。フィールドの違う場所で活躍し、年代も離れている二人は、お互いのことをどう感じているのだろう。 金原:ゆっきゅんは、会ってから、ずっと頭のなかのどこかにいる存在です。後押ししてくれているというか、「オッケーオッケー」って言われてる感じがして。それがすごくありがたくて、存在自体が支えになっていると感じます。歌詞もタイトルもすごく好きで、言葉の当てはめかたとか伝えかたが、Xの投稿一つとってもすごい。 ゆっきゅん:嬉しい。恥ずかしくなってきた(笑)。金原さんからいただいたコメントをすごく覚えています。「どんな時も一緒に生きてくれる」って書いてくださって。 「ゆっきゅんの音楽は、落下する私たちを包み込むクッションに、私たちの泣き声の華麗なカモフラージュに、歓喜に飛び跳ねる私たちより華やかな虹になって、どんな時も一緒に生きてくれる。」 - ゆっきゅんさんが9月にリリースしたセカンドフルアルバム『生まれ変わらないあなたを』に寄せられた金原ひとみさんのコメントより 金原:私、人の作品を人に勧めるとき、ものすごい推せるっていう自信があるんです。なにかに触れたときに自分が実感したことを言葉にすることが好きだし、それを伝えるという行為自体がとても好きなんです。だから書評の仕事とかも、私は向いているなって思う。 ゆっきゅん:宣伝になるとどうしても「盛り」が入ってくるじゃないですか。でも金原さんの文章は全然「盛り」が入っていなくて、本当に思っていることを言っていますよね。 きっと金原さんは本当のことしか言わない人生を歩んできたから、それができるんですよ。だから、金原さんの作品も文章も全部読みたいって思うんだと思います。 金原:絶対に嘘はつきたくないんですよね。本心だけでゴリゴリに推してやる、という感じです。 ゆっきゅん:ありがとうございます、そういうふうに生きてくださって。 金原:あははは(笑)。 ゆっきゅん:本当にいつも思います。金原さんの文章を読むと「よし」と思うというか、自分も本当のことだけでどこまでいけるだろうって思っています。 自分のなかに生まれてくる感情や意見って、整理されていなかったり乱立したりしていることがあるじゃないですか。表現するときは捨象したくないんですけど、あらゆる感情のなかから一つだけを選んで言うと、嘘になってくるというか。選んだ感情は、たしかに自分のなかにあるものなのに。 でも、金原さんはそれを全部書いてくれている人だと思っていて。それは自然なことで、それこそ「オッケー」って言ってくれてるような感じがするんですよね。 金原:矛盾と混沌のなかで……。 ゆっきゅん:そうそう。そのなかにいますよね。それが本当だよね、ということを伝えてくれる感じがします。