日産パルサー1400TS-G(昭和53/1978年5月発売・HN10型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト099】
トランスミッションはコントロールロッド式4速MTが基本で、1.4L系には無段変速ATの日産スポーツマチックも用意された。さらに1400TS-Gに5速が直結(1.000)の専用クロスレシオ5速MTを設定したのは出色だった。 サスペンションはチェリーから継承した前:ストラット/後:トレーリングアームの4輪独立式だが、フロントサスに直進性を高めるネガティブスクラブ(タイヤの接地中心が仮想キングピン中心との交点より内側にくる設定)を採用したり、ジオメトリーの最適化やバネ下重量の軽減などを図っている。 ステアリングギヤボックスはラック・アンド・ピニオン式としてシャープさを増した。幅広いトレッドとロングホイールベースの採用もあり、すぐれた走行性、操縦性としなやかな乗り心地を実現している。 フロントに採用されたディスクブレーキは、6インチの大型マスターバックで踏力をサポート。リアはオートアジャスター機構付きのドラムブレーキとなっている。安全性を確保するためにタンデムブレーキマスターシリンダーを採用するとともに、ブレーキ油圧配管を二系統のX型とし、万が一片方のブレーキパイプに油圧抜けが生じても安定した制動が得られるようになっていた。
イメージとしてはライトウエイトスポーティカーではあったが、排出ガス規制によってやむを得なかったとはいえ、控えめなパワーもあり実際のところ速いクルマではなかった。ただFFの特性を生かした軽快な走りは速さを度外視しても魅力となっていた。 いずれにしても排出ガス規制対応で元気をなくしたパルサーが本来の走りを取り戻したのは、セダン発表から4カ月後の9月。3ドアハッチバックとクーペが追加され、EGIで92psまでパワーアップしたA14E型エンジンを搭載した「XE」の新設定からになる。
日産パルサー1400TS-G(HN10型)諸元
●全長×全幅×全高:3490×1620×1360mm ●ホイールベース:2395mm ●車両重量:840kg ●エンジン型式・種類:A14S・直4OHV ●排気量:1397cc ●最高出力:80ps/6000rpm ●最大トルク:11.5kgm/3600rpm ●トランスミッション:5速MT ●タイヤサイズ:155SR13 ●新車価格:101万3000円
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