ROGUEギタリスト香川誠が語る解散の真相、再結成後に感じた素直な想い
音楽評論家・田家秀樹が毎月一つのテーマを設定し毎週放送してきた「J-POP LEGEND FORUM」が10年目を迎えた2023年4月、「J-POP LEGEND CAFE」として生まれ変わりリスタート。1カ月1特集という従来のスタイルに捕らわれず自由な特集形式で表舞台だけでなく舞台裏や市井の存在までさまざまな日本の音楽界の伝説的な存在に迫る。 2024年6月の特集は、「吉田拓郎とROGUE」。前半の2週は吉田拓郎のアルバム『Another Side Of Takuro 25』、後半はROGUEの6枚組ボックス・セット『60 ALL TIME SELECTION』を掘り下げていく。 終わりのない歌 -Acoustic Version- / ROGUE 田家:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」マスター・田家秀樹です。今流れているのはROGUEの「終わりのない歌」。1987年に出た4枚目のシングル。先週と今週の前テーマはこの曲ですが、先月発売になったCD5枚組、DVD1枚、6枚組のボックス、『60 ALL TIME SELECTION』のDisc4の中のアコースティック・バージョンからお聴きいただいております。初めてのオールタイムセレクション、タイトルも60。先週と今週はギターの香川誠さんをゲストにお招きしております。こんばんは。 香川:こんばんは。よろしくお願いします。 田家:先週はこの「終わりのない歌」のシングル・バージョンをお聴きいただきましたが、これは2014年のアルバム『REAL AGAIN』の中。 香川:再結成後ということですよね。このときはいい曲だなと思って弾いてますよ(笑)。 田家:大人になってますし(笑)。 香川:もういい曲だな、こんなにいい曲だったっけなって思ってますもん。 田家:今回の『60 ALL TIME SELECTION』はインディーズ時代の曲もあれば、再結成以後の曲も入っているわけで。再結成は解散したときには頭になかったんでしょう? 香川:再結成するつもりがなかったですから、1mmもないですね。二度と奥野とやるって思ってなかったですもん。 田家:なるほどね。この「終わりのない歌」がこんなにいい歌だと思うようになると思わないで解散しちゃった。 香川:解散してますね。まだ20代後半。 田家:これがいい歌だなと思うようになった自分のことはどんなふうに思いました(笑)? 香川:単純に年取っているんですけど、相手のことを思いながらギターを弾くってところまでたどり着いてないんですよね、以前のROGUEのときは。奥野のためにギターを弾こうなんて思ってませんでしたから。 田家:俺がかっこいいものをやるんだ。 香川:そうです、そうです。それだけですけど、再結成の後は言葉が難しいんですけど、彼が障害を負ったということがやっぱり大きくて。なんて言うのかな、憎たらしいやつだったはずなのに、なんか憎たらしいって言い続けられなくなっちゃったっていう。 田家:そういう話も後ほどゆっくり伺っていこうと思います。 MELODY / ROGUE 田家:これは1988年11月に発売になった5枚目のアルバム『MOVE』の中の曲で詞曲が西山史晃さん。 香川:『MOVE』というアルバムは、僕はほぼ曲を書いていないんです。アレンジしたりとか、サウンドを作ることに興味が傾いていて、すげーか僕らの中で歌っこいい曲だ、西山と思った曲なんですよね。先週言いましたけど、僕らの中で歌い手が歌詞を書くというウェイトになっている。それはなんでかと言うと、ややこしくなっちゃうんですよ。奥野がここの歌詞はこう変えたいとか、いちゃもんみたいなことを言ってくるので、なんだよもうめんどくせえなって言って、じゃあお前書けばいいじゃんっていうふうになり出した頃ですよね。 田家:これはこのまま西山さんの詞がいいよねみたいな感じで残っていたんですね。 香川:そうですね。 BOYS, BE AMBITIOUS / ROGUE 田家:これは詞曲が奥野さんで、アルバムは1988年の『MOVE』。1988年って『SERENADE』と『MOVE』と両方出ているんですね。 香川:うーん、働かされましたよね(笑)。契約上そうだったんじゃないですかね。 田家:ふふ。 香川:ルーティンに組み込まれるので、アルバム制作期間があって、アルバムのリリースがあってツアーに行って、ちょっと休んでまた曲を作ってという繰り返しに入っていますから、この頃は。『SERENADE』とこれの前ぐらいまではアマチュアの頃からライブでやっている曲も入っていたので、気持ちとしてはライブが先、で、アルバムという気持ちでいられたんですよ。この頃から曲を作ってからツアーというパターン。 田家:この曲がかかっているとき香川さんがギターの音が違うんだよねとおっしゃっていましたけど、『MOVE』は裏側に回るようになっていたという、バンドの変化の時期だった。 香川:そうですね。おそらく。僕、ギタリストって見えていて、そう言われるんですけどあまり自分のギターの音とかにこだわった覚えが今までなくて、ギター担当者ではあるんですけど。なので、曲とかのカラーでサウンドを変えても全然構わないタイプなんですよね。 田家:バンドを始めて奥野さんと出会って、一緒にやろうよってなったときに、俺がギターだというのはそんなにこだわってなかったんですか? 香川:こだわっていたわけじゃないですけど、ただ僕はギタリストでヒーローになるんだって思ってなかったので。バンドの中のギタリストがかっこいいと思っていた程度で。Charは好きでしたけど、あっちじゃないって。 田家:そういう香川さんと奥野さんの2人の中に深澤さんの中に西山さんが入ってくるわけでしょう。 香川:僕はギターよりも人事とかを担当して(笑)。 田家:プロデューサー側という。 香川:人事部長だったので、奥野がベース・ヴォーカルで始めたトリオだったのに、ドラムをまず竜さん(深澤靖明)を引っ張ってこよう、竜さんはアマチュアで活躍していたので、それよりもROGUEっていうバンドの方が絶対いけちゃうんですよって言って、口説いて入れるっていう。 田家:ロフトでやっていたバンドなわけですもんね。 香川:そうそう。そのタイミングで奥野はベースだけになる。歌はじゃあガクロウっていうのを入れる。先週言った。で、やっているんだけど、奥野が今度はやっぱり歌を歌いたいってなったときに、ベースを誰か探さないといけないとかっていうことで、デビューまでいろいろなメンバー・チェンジがあったので。 田家:奥野さんもROGUEになってから、自分の歌にどんどん目覚めていったという感じなんですね。 香川:そうですね。 田家:詞もそういう意味では。 香川:そうだと思います。奥野も西山も僕よりギター上手かったんじゃないかと思うぐらい。 田家:西山さんもギターですもんね。そういうそれぞれがちゃんと個性を持っているバンドのおもしろさというのがROGUEだった。 香川:おそらく自分だけのエゴで言えば、誰かとやることで僕はプロになれると思っていましたから。自分よりも光っている人とか、才能のある人とやりたいんですよ。そういう人選だったので、当然スタートラインの奥野は僕にとってはビカビカに輝いていたので、奥野とやろうということだったと思うんですよね。 田家:次の曲は西山さんが曲を書いているのですが、タイトルは「I’M A GUITARIST」。