ROGUEギタリスト香川誠が語る解散の真相、再結成後に感じた素直な想い
カチンと来たのでそのまますぐメンバーに電話して、もう辞めたよ解散って
危険信号 / ROGUE 田家:作詞作曲は香川さんですね。 香川:これは古い曲で、アマチュアのときからやっている曲で。ライブだけでやっていて、アルバム収録はなくて、ニューヨークとかいろいろなことをやってきて原点に戻りましょうで、この曲とか「MY HONEY」とか入れて。僕らの動機はなんだったんだというところのアルバムなんですよ。だから、今聴いても笑っちゃうんだけど、俺たぶんこれ『バースト・シティ』っていう映画を観た後かな。 田家:あ、石井聰亙。「爆裂都市」。 香川:そう。それぐらいの曲だなと思いますね(笑)。 田家:そうか、それは奥野さんとは明らかに違うところを見ていたということになるんですかね。 香川:そうですね。その1990年には奥野が見ている先と、僕らがバンドとして見ている先は違ったんだと思う。 田家:なるほどね。解散を決めた瞬間があるわけでしょう? 香川:ありましたね。もう一瞬でしたね。一瞬です、喫茶店で。まあ、奥野がそう言うんじゃ、こいつ舐めてるなと思って。 田家:奥野さんはなんておっしゃったんですか? 香川:僕は俳優もやりたい、ソロでこういうのやりたいって。君らがアルバム『SOLID BLUE』でやりたい方向性と僕はもう違う。セックス・ドラッグ・ロックンロールじゃないけど、僕らもそれの最後の世代だったわけで、そういうのじゃないことを自分はやりたいとはっきり言って。歌謡曲とかも最近ロックっぽいの増えたから、君らも仕事はあるでしょうって生意気なことを言ったので、はい、これで終わりだって。バカにして言ったんじゃないとは思っているけど、とりあえずカチンと来たのでそのまますぐメンバーに電話して、もう辞めたよ解散って。 田家:その場で? 香川:その場で。で、事務所にもすぐ電話して、マネージャーにも今日この瞬間からもうやらない。なので、解散ライブもないという。 田家:そういうバンドが2013年に再結成して、2014年に再結成のアルバムを発売するわけですが、そのアルバム『REAL AGAIN』の中から香川さんが選ばれた「IT’S SHOW TIME !」。 IT’S SHOW TIME ! / ROGUE 田家:ROGUEの再結成アルバム、2014年12月に発売になった『REAL AGAIN』から「IT’S SHOW TIME !」。詞曲は奥野さんです。このアルバムの前、2013年10月にグリーンドーム前橋でGBGB2013。ここで復活をした。 香川:はい。 田家:先週お話をしていた奥野さんが「WHAT A WONDERFUL WORLD」をYouTubeに投稿していて、それを桜井和寿さんが見つけてという。投稿しているのはご存知だったんですか? 香川:お見舞いに行った時に奥野ダメだなって思っちゃって。再結成っていろいろな人に言われた時期もあったけど、僕も例えば西山も氷室さんのツアー回れたりとか、いろいろやっていたりもして。音楽キャリアは積んでいたので、より再結成をやる意味がないと思っていた時期ですね。裏方の仕事、制作の仕事をやり出していたり。おまけに事故に遭ったというニュースでもう二度と再結成できない。 田家:と思ったでしょうね。 香川:思っちゃって、で、もう2回目のお見舞いも行かなくなって、すごく押し付けがましい、図々しい考え方なんだけどなんかないかなとは漠然とは思っていたんですけど。有志とか後輩が群馬にたくさんいたんですけど。その後輩たちが突然奥野さんのためになんかやろうよって言ってくれたのがきっかけになって、何をどうするよって。僕は音楽業界にはまだかろうじていたので、音楽でやることができるんじゃない?って。フェスじゃないけど、ただ目的はどうするの? 奥野さんのためにって言うけど、じゃあ障害がある方と一緒に飯が食える、酒が飲めるところを作ろうかとか、それぐらいで始まったんですよ。 田家:そのときは奥野さんが歌を歌えるようになったということは? 香川:知らずに。それでぼーっとしているときにap bankを僕がテレビで見ちゃって、あれ!?と思って。まあ、噂で奥野がこういうことをYouTubeであげてるよ、見れば? 感動するよって言う人もいましたけど、一切見ちゃダメだと思っていたから。 田家:あー、すごいなそれも。 香川:あえて見なかったのに、あれ!?って見ちゃったから、奥野こんなことやってるんだと思って。じゃあ、できるのかなあっていうのは渾然一体となって、GBGBというイベントにこぎつけるんですよ。 田家:そのときのレコーディングというのも大変だったんじゃないですかね。 香川:「IT’S SHOW TIME !」がすげーいい曲だと思って、今の奥野がこれを書くんだって。レコーディングもまあ、ちょっと恥ずかしい話しだけど、奥野はもうギターが弾けないから、きっと奥野だったらこういうギターを弾くかなとかも思いながらギターを弾くとかは、そんな気持ちにもなりましたよ。 田家:そんな話はこの曲の後にまたお訊きしようと思います。『REAL AGAIN』の中の1曲、香川さんがこの曲を選ばれました。「DISTANCE」。