ROGUEギタリスト香川誠が語る解散の真相、再結成後に感じた素直な想い
僕らもなんとかロックみたいなムーブメントに入りたくなかったけど、入れてももらえなかった
I’M A GUITARIST / ROGUE 田家:曲を書いているのが西山さんで、詞を書いているのが奥野さんというのがおもしろいですね。 香川:奥野さんが「I’M A GUITARIST」って書いたときにはびっくりしましたよね。ほんと勘弁してくれってまだ思ってるかもしれない。 田家:これは西山さんがROGUEに入る前、ギタリストだったというようなことで書いたんですかね。 香川:違うと思いますよ。奥野さんの歌詞の流れでそうだったと思うんですけど、西山のメロディ・メイクがバーンと僕らの前に来たとき、たぶん奥野も焦ったと思うんですよ。僕はもう焦ったというか、こら勝てないと思いましたから。 田家:西山さんの曲がいいから。 香川:このセンスは僕らには無理で、それぐらい僕は嫉妬もあったし、才能を感じちゃって。これはすごいと思いました。 田家:西山さんを誘ったのは香川さんなんでしょう? 香川:そうですね。西山がやっていたバンドがあって、そのバンドのベースの人(小高さん)に最初は入ってもらったんですよ。ファンとして僕らのライブに来ていて、ギターの西山を連れてきていた。そのバンド僕らのおかげで解散になってしまって。 田家:あららら、僕らのおかげで。 香川:そう。彼(西山さん)はベースになったんですよね。で、後にブルーハーツに加わる梶原とバンドを組んで、その噂が僕らのところに来て。西山、ベース弾いたらかっこいいらしいぞ、じゃあ見てみたい。僕ら主催の屋根裏のオールナイトイベントがあったので出てもらったら、かっこいいんじゃんってなって、すぐに西山を口説いて。 田家:前のバンドがROGUEのために解散したというのは何かあったんですか? 香川:小高くんというベースの人と西山はバンドをやっていたので、最初、小高を僕らのROGUEに入れちゃったもので、バンドが分解しちゃったんです。 田家:なるほど、そういう時代ですね。 香川:人事部長としてはね、致し方ない。 田家:この「I’M A GUITARIST」の入ったアルバム『VIVA』のトラックダウンはニューヨークで行われているわけでしょう? 香川:そうですね。その前の『MOVE』のときから、エンジニアのロブ・イートンという方に頼んでいて。 田家:パワー・ステーション。 香川:ロブを日本に1回招いて、河口湖でレコーディングをして、そのままニューヨークへトラックダウン行こうという形だったので。 WIND~心の歌~ / ROGUE 田家:1990年3月に発売になったシングル「WIND~心の歌~」。アルバムは1990年5月の『SOLID BLUE』に入っておりまして、これは詞曲が奥野さんですね。 香川:まあ、これは崩壊の前日みたいな感じですよね。 田家:1989年の4月に『VIVA』のトラックダウンと一緒にCBGB、ニューヨークのあそこでライブをやって。1989年8月30日に武道館コンサート『単独行動』があって、その後のアルバムが『SOLID BLUE』とシングル。 香川:シングルが出て、アルバムが出て。 田家:ニューヨークでやりました、武道館やりましたという後のシングルとは思えない。 香川:全然思えないですね。もう奥野の曲です。 田家:これがその後に繋がるということ……。 香川:なのかなあ。 田家:でしょうね。 香川:ニューヨークでライブできて、取材の人も来てくれてとか、時はバブルですから僕らも浮かれていて、武道館もできるわけですけど、いろいろなところで話しているんですけどメンバー3人は武道館はやりたくはなかったんですよね。奥野はやりたい。 田家:あ、メンバー3人はやりたくなかったんだ。 香川:やりたくなかったんですよ、最初。ロックのステータスは渋公2DAYSとか、野音2DAYSの方が全然かっこいいと思ってました。よく言うじゃないですか、武道館が目標みたいな感じで。一番ダサいパターンですもんね。ただ、結果的に言えばやれてよかったし、やってよかったんですけど、その企画が立ったときにはなんで?と思ってました。 田家:単独行動っていうコンサート・タイトルがいいな、かっこいいと思ったんですよ。 香川:ツアーみたいな、日本中でご当地芸人みたいにやってみたんですよね。九州1カ月、広島1カ月みたいなのをやって、それの集大成でニューヨークのライブという形になっていて。で、武道館に繋げるという。僕らもなんとかロックみたいな、ムーブメントに入りたくなかったけど、入れてももらえない。 田家:あー、それですね。入れてもらえない。 香川:入れてもらえないんですよ。毛色が違いすぎるとか、キャラクターが濃すぎるとか、ちょっと野蛮であるとか。いろいろなことで。 田家:ROGUEっていう名前もならず者っていう意味ですからね(笑)。 香川:全然入れてもらえないので、もう居直ってますよね、単独行動ですもん僕ら。誰かと仲良しはしませんって。 田家:その後に出たのがこのシングルだった。香川さんが選ばれた5曲目「危険信号」。