パリで星を獲った日本人シェフが凱旋帰国。東京で探すフランス料理の新境地とは⁉
東京・虎ノ門 「apothéose(アポテオーズ)」
LEON : ここは虎ノ門ヒルズTOKYO NODEの最上階、東京を一望する素晴らしいロケーションですね。席数も30以上、個室もあり、格の高いレストランとしての条件をすべて叶えているように感じます。 北村啓太シェフ(以下北村) : 実は積極的に帰国しようと思っていたわけではなかったんですが、今回のプロジェクトの壮大さをお聞きして、それならば……と決心しました。パリで働いていて、ビジネスパートナー*の重要さを実感していましたし。 LEON : いわゆる“シェフ”には2種いらして、自分だけの世界を創り上げたいオーナーシェフタイプと、ビジネスパートナーと協業して、より大きなビジョンを描くタイプがいますね。 北村 : ぼくはどちらかといえば後者ですね。フランスで色んな経験をして、日本の信頼できるビジネスパートナーが欲しいと思っていたタイミングでもありました。ここなら、東京にいながら世界水準のレストランがつくれると確信したから、帰国する決心をしたんです。
龍虎に憧れて志した料理の道
LEON : そもそも北村シェフはどうして料理の道を志したんですか? 北村 : 母が料理上手でその影響を受けて……っていうのがオフィシャルな回答なんですが(笑)、でも本当のところは子どもの頃から食べるのが大好きだったんです。たとえば、好きなテレビ番組は『料理天国』。ホラ、龍虎さんが試食するコーナーがあるじゃないですか。ぼく、あれが大好きで。 LEON : 和食、洋食、中華それぞれの料理人として辻調理師専門学校(以下辻調)の先生方が協力されていましたね。それで北村さんも辻調に進まれたのかな。 北村 : それは偶然なんですが(笑)。でもずっと龍虎さんを見ていたから、3歳からナイフとフォークが上手に使えたんですよ。お子様が入れないレストランにも「この子は大丈夫なんで」と連れていってもらうほど(お行儀がよくて)。 *1975年10月4日から1992年9月26日まで17年間、TBS系列ほかで放送されていた料理バラエティ番組。