「余命1年」身障者4級への行政支援のありがたさ
2024年春、ジャーナリストの山田稔(64)さんに膀胱がんが発覚、肺にも転移しており、ステージ4でした。医師が語る病状説明を淡々と受け入れ、がんとの共存の道を選択した山田さんは、抗がん剤治療を経て10月に膀胱の全摘出手術を受けました。本連載(今回は第5回)では、3カ月に及んだ抗がん剤投与の様子と、身体障害者障害程度等級4級になったことで得られるようになった行政支援についてお届けします。 【CT画像を見る】抗がん剤が奏功し、3カ月間で腫瘍は明らかに縮小(ビフォー・アフター) ■抗がん剤投与期間中の仕事をどうするか?
4月上旬に始まった抗がん剤投与は第1クールが順調に終わり、25日からは第2クールに突入していた。この間、大きな副作用はなく、気になったのは投与後数日たってからの発熱のみだった。 38度台の熱が2、3日続いたが、やがて何ごともなかったかのように治まった。発熱が続いたので大事を取って入院して様子を見ることにした。発熱以外は何の異常もなく、体調は良好、食欲も発熱時以外は旺盛だった。 そんな状況が続くなか、仕事をどうしようか判断に悩んだが、無理のない範囲で続けていくことにした。24歳から始めた記者・編集者稼業はそう簡単には辞められない。好奇心と刺激がなくなったら人生面白くもなんともない。知らない人に会ってみたい、行ったことのないところに行きたい、食べたことのないモノを食べたい、変化したまちを実感してみたい、要は未知の世界に飛び込んでいきたいのだ。
病気治療を理由にそうした欲求を抑えることは不可能だった。がん発覚前の水準は無理だったが、少しペースを落として続けることにした。 5月初旬、抗がん剤投与の第2クールが終了した。医師は「14日から第3クールに」と提案するのだが、その頃はだるい日が多く、カラダの負担が増している気がするので、21日まで1週間空けてもらった。 抗がん剤投与は6月下旬までに第3クールが終了した。今回は珍しく発熱がなかった。だいぶ慣れてきたのだろう。