なぜK-1王者の武尊は世界王者を育てたボクシングの名トレーナーとコンビを組んだのか?
来年1月24日に代々木第一体育館で開催される「K´FESTA.4」で10か月ぶりに防衛戦を行うK-1 WORLD GPスーパーフェザー級王者の武尊(29)が25日、東京・祐天寺のジムALONZAで練習を公開した。10月からボクシングのエディタウンゼント賞受賞トレーナーの藤原俊志氏(46)とタッグを組み、初めて本格的にボクシング技術を学び始めた。なぜ武尊はボクシングを学ぶ気持ちになったのか。これまで我流だった技術にプラスアルファを加えた“ニュー武尊”は、その成果をKrush同級王者レオナ・ペタス(28)との2度目の防衛戦にぶつける。
「攻撃パターンが増えた」
小気味のいいミット音が響く。武尊は、藤原トレーナーが持つミットに、スピードの乗った右、左のフックコンビネーションをしっかりとステップを踏みながら正確に打ち込んだ。 痛めていた左の拳は「まだ戻している最中で100%ではないかも」というが手加減している様子は見られなかった。レオナ戦まで、まだ1か月あり、「左を重点的に練習している。(レオナ戦には)120%でもっていけるんじゃないか」と言う。 この10月から元WBA世界スーパーフライ級王者の名城信男(現近大ボクシング部監督)らを育てた藤原トレーナーからボクシング技術を学び始めたが、すでに成果が表れつつある。 「まだ試合で試していないのでどう成果が出てくるかわからないが、パンチのキレはよくなっている。それと僕に足りなかったのはポジショニング。自分の攻撃が強く打てるポジションから動かないのが僕のスタイルだったが、今までなかったポジションからもパンチ、コンビネーションを打てるんだ、と選択肢が増えた。違うパターンからも攻撃が始められるようになった」 武尊も手ごたえを口にした。 左拳の怪我をした武尊は11月に予定されていたレオナとの防衛戦のキャンセルを余儀なくされたが、たび重なる拳の怪我の原因を考えている中で、知人から所属していたボクシングジムを離れフリーになっていた藤原トレーナーの存在を知らされ興味を持った。 「ボクシング界の(優秀な)トレーナーに贈られる賞(エディタウンゼント賞)を受賞しチャンピオンも育てているいいトレーナーさんがいると聞いて教わりたいなと。拳の怪我をすることも多かった。攻撃だけでなく技術的に拳を怪我しにくい打ち方や、バンテージの巻き方など教わること、足りないところがあると思った。今までは殴って倒すことを第一優先でやってきたが、現役が長くなると怪我も増えてくる。(ボクシングトレーナーに学ぶことで)成長できたらと」 “お試し”で、数度、教えを請い、藤原トレーナーの指導技術を確認した上で、専属のボクシングトレーナーとして契約を結んだという。実際、パンチの基礎やディフェンスの技術だけでなく、拳を痛めにくいバンテージの巻き方なども学んだ。