平安時代、「娘」は「人」として扱われていた?それとも錬金術のための「道具」だった?【NHK大河『光る君へ』#26】|
紫式部を中心に平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第26話が6月30日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。 【画像】NHK大河『光る君へ』#26
時代に翻弄される女たち...実権を握る者の娘として生まれた女が背負う苦労
安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)の予言のとおり都では災害が続き、多くの人たちが命を失いました。道長(柄本佑)は水にのまれ、建物の下敷きとなり100人以上が命を失った現実に心を痛めます。 こうした危機の最中、道長は天変地異をおさめる方法を安倍晴明から告げられます。 安倍晴明によると、帝のお心の乱れがおさまれば天変地異は収束するといい、それには左大臣の一の姫・彰子(見上愛)を入内させる必要があるといいます。 道長は彰子の引っ込み思案な性格や口数の少なさを理由に娘の入内に否定的ですが、内裏を清めるために娘を入内させることに心を決めます。 道長は姉・詮子(吉田羊)に娘の入内について相談しますが、詮子は姪である彰子が厳しい境遇にあることを察しながらも入内に肯定的です。 安倍晴明が言うように入内は彰子の宿命ですが、詮子は入内を彰子の使命として考えています。詮子は「子供であろうともそれが使命であればやり抜くでしょう」と道長に助言します。 思い返すと、詮子自身も自分のためではなく、家のために翻弄されてきました。家の繁栄のために入内したものの父・兼家(段田安則)に裏切られ、夫・円融天皇(坂東巳之助)からも寵愛を受けられず孤独を抱え、数多くの涙を流してきました。 詮子は当時の権力者の娘として生まれた宿命を受け入れ、自分の意思とは反することであっても時の流れに従って耐えてきました。彼女は世の定めをよく理解していると考えられます。実権者の娘として数々の苦悩を経験してきた詮子は、彰子に対しても自分の使命をまっとうすべきだと考えているのです。それこそが、貴族の女性として生まれた女性の使命だから。