阪神・佐藤輝明の新4番抜擢は正解か…2年目に変貌を遂げた2つのポイント…甲子園OP戦初戦で先制打と弾丸二塁打
打撃フォームはグリップの位置をやや下げコンパクトになった。ポイントが体に近くなり、軸に重心を残して引き付け、スイングも最短距離を意識しているように見える。藤井巡回打撃コーチが指導する4スタンス理論のエッセンスを取り入れたのだろう。 「上体のぶれがなくなった。構えからコンパクトになり、これまでのように高いグリップの位置から振り下ろすようなスイングではなく、ボールの見極めができるようになった。二塁打を打った打席の4球目に高めのボール球に手を出してファウルになったが、今までなら空振りしていたボール。三振かホームランかのスタイルではなく、率を意識しているのだろう。体重移動もできているし、軸に重心を残して回ろうとしているので、右肩がめくれるような形にはなっていない。このスタイルなら三振数は年間で100を切るまでには減り、率も270くらいまで上がるのではないか」 昨年は両リーグワーストの173三振を喫して、打率は.238しか残せなかったが、今季はオープン戦3試合で12打席立ち、まだ三振はひとつしかない。3試合連続ヒットで、打率は.455と、いきなり結果を出している。 ただラインドライブがかかり打球が上がらない。7回の二塁打は、本来ならば、文句なしにスタンドに消えていなければならない打球だ。 「重心を残すことに少し意識がいきすぎて、バットのヘッドが下がり、必然的にスイングの前が小さくなっているのが原因」と高代氏は指摘した。 では、矢野監督の「佐藤4番」の決断は正解なのか。高代氏は、このプランを支持した。 「おそらく開幕も佐藤4番でいくのではないか。このスタイルの佐藤であれば4番でいいと思う。25本、80打点、打率.270はクリアできると思う。もう一人の候補は大山だろうが、キャンプの序盤から比べて、ここにきて、またバットと体が離れ出してきて内容はよくない。2人の現時点での比較論でいえば佐藤が上。佐藤の後ろを打つ人間が重要になってくるのだから、佐藤―大山の並びが現状ではベストかもしれない。また相手投手の右左で4、5番を入れ替えるようなことはするべきではない。選手が戸惑う。4番を佐藤と決めたのであれば、我慢して貫く必要があると思う」 2月27日のヤクルトとのオープン戦では4番に座っていた大山は、この日、4打数ノーヒットの2三振。まだ3試合でヒットがない。キャンプ序盤は、力みの消えた打撃フォームで、バットがスムーズに出ていたが、高代氏が指摘するように、昨年の悪かった時期のように、またバットが少し遠回りするようになっている。 4番・佐藤と矢野監督が運命を共にするのであれば、佐藤に求められるものは増える。 高代氏は、この日のゲームで、ひとつ注文をつけた。7回無死三塁から大山がライトのファウルフライに倒れたが、難しい位置でのキャッチだったにもかかわらず、三塁走者の佐藤はタッチアップの体勢を取らなかった。 「ノーアウトで糸井、ロハスの6、7番に続く局面だけに無理する場面ではなかったが、走者が自分で打球判断ができるケース。途中でストップしてもいいので、タッチアップからスタートは切っておくべきだった。細かい部分だが、こういうところへの小さな意識が今の阪神には重要だと思う」 コンディションに波は出てくるから、この先、オープン戦途中に佐藤は壁にぶつかるだろう。そこをどう乗り越えるか。阪神は残り12試合のオープン戦を消化して、25日の昨季の覇者ヤクルトとの開幕戦を京セラドームで迎えることになる。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)