ダイキン井上会長の「特別功績金」43億円、オリックス宮内氏に次ぐ日本人歴代2位に
空調メーカー大手のダイキン工業が27日開いた株主総会で、退任する井上礼之(のりゆき)取締役会長に43億円の巨額の「特別功績金」が支払われることが決まった。東京商工リサーチによると、日本人会社役員の退職金規模としては、オリックスの経営を33年間担った宮内義彦氏の約44億円に次ぐ歴代2位となる。巨額退職金に一部では疑問の声もあがるが、果たしてそれは「不当に高額」な規模なのか。 ■巨額慰労金の妥当性は 会社役員の退職金については、退職慰労金や特別功労金と会社ごとで表現が異なるが、会計上は退職金として扱われ、その金額は原則、自由に定められる。ただし、退職金が「不当に高額」と判断される部分は役員賞与と扱われ、税法上で経費として計上(損金算入)することができず、会社が支払う税金を下げる効果がなくなる。 役員退職金の計算方法は、役員の業務功績に応じて計算する「功績倍率法」という方法が一般的に使われる。計算式は、退職時の月額報酬×役員勤続年数×功績倍率となる。例えば、月額報酬が50万円で30年勤続し、功績倍率が2・0の場合は、50万×30年×2・0で退職金は3000万円と算出される。 ポイントとなるのが「功績倍率」だ。役員退職金が不当に高額か否かで争われた過去の判例などから、功績倍率は「社長3・0、専務2・4、常務2・2、平取締役1・8、監査役1・6」が一般化している。この基準を大きく超えていた場合、不当に高額と認められることがある。 これを、井上氏に当てはめるとどうなるのか。現在の年間役員報酬の約4億5600万円を月割りで算出すると月額報酬は約3800万円。昭和54年に役員である取締役に就任しており、退任する令和6年までの役員勤続期間は45年間。功績倍率3・0で計算した場合、退職金額は51億3000万円となる。辻・本郷税理士法人の安積健税理士によると、「井上氏に支払われる退職金43億円は功績倍率法で算出した金額を下回っており、企業規模を考慮しても税務上は妥当とみられる」と指摘する。 ■創業家など高額化傾向