「ジェンダーギャップ指数」146ヵ国中125位の日本…女性が抱える“性被害”“家庭”“お金”などの問題に寄り添う「女性支援新法」とは?
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。2月18日(日)の放送では、厚生労働省 社会・援護局 総務課 女性支援室長の野中祥子(のなか・さちこ)さんを迎えて、「あなたのミカタです! 女性支援新法」をテーマに話を伺いました。
◆ジェンダーギャップ指数、日本は過去最低の順位
ジェンダーギャップとは、男女の違いで生じるさまざまな格差のことで、それを数値化したものが「ジェンダーギャップ指数」です。この指数は、スイスの非営利財団「世界国際フォーラム」が毎年公表しており、2023年の日本の順位は世界146ヵ国中125位で、過去最低の順位となりました。 男女差がより浮き彫りとなったのが「コロナ禍」と言われており、実際に新型コロナウイルス感染症が拡大した時期は、女性からのDV相談件数や女性の自殺者数が増え、シングルマザーの失業率も上昇しています。 そこで、4月1日(月)から施行されることになったのが「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(通称:女性支援新法)」です。この法律について、野中さんは「女性が日常生活や社会生活を送るうえで、“女性”ということによって、さまざまな困難な問題に直面します。この法律は、そうした女性の福祉の増進を図るために制定されました。困難な問題を抱える女性に寄り添い、一人ひとりのニーズに応じた支援をおこない、安心かつ自立して暮らせる社会の実現を目指すための法律です」と説明します。 これまで、生活困窮者や児童、障がい者などに関する福祉の法律はありましたが、女性の福祉に特化した法律はなかったことから、女性支援新法は“女性のための革新的な法律”と言えます。 では、なぜ今になって、このような法律ができたのでしょうか? 「実は今から67年前にも、困った状況の女性を助ける法律はつくられていて、これが女性支援の始まりでした。ただし、これは『売春防止法』といって、売春をする女性や売春をするおそれのある女性を対象とするもので、こうした女性の保護と更生が目的でした。しかし、困った状況にある女性はそういう方々だけではないので、時代の変化に応じて、解釈やほかの個別の法律を“継ぎはぎ”するような形で、対象となる女性を拡大していきました」と野中さん。 しかし近年、女性が抱える問題は多様化・複雑化・複合化してきており、今のままでは、そうした問題に対応しきれないうえに、「大元が売春防止法であることから、『女性の福祉』『自立支援』という視点が十分でなく、制度的に限界が指摘されていました。そこで、新しく『女性の福祉』『人権の尊重や擁護』『男女平等』といった視点を明確に規定した法律が制定されました」と解説します。 そして、女性支援新法の施行に伴い、「従来の支援機関の名称を変更し、新たな理念・目的に基づいて、これまで以上に女性の立場に寄り添った、きめ細かな支援をおこなうことになります」と言及。ちなみに、これまで各都道府県に設けられていた「婦人相談所」が「女性相談支援センター」に、都道府県知事や市長が委嘱していた「婦人相談員」が「女性相談支援員」に、都道府県や社会福祉法人などが設置していた「婦人保護施設」が「女性自立支援施設」に、それぞれ名称が変更されます。