「ケロッグ」コーンフレークの工場跡地に誕生したスマートタウンinブレーメン
かつての米倉庫にはピッツェリア、ビール醸造所、オーガニックマーケットなどが入り、早くも人々が集まる場となっていた。ケロッグの管理部門があった2棟の建物は、小学校として活躍中。元学校を再利用する話はよく聞くが、元工場が学校になるのは珍しいのではないか。
旧米倉庫に隣接する農園は、社会復帰しようとする人びとを支援する非営利プロジェクトに活用される。2000平方メートルの敷地で野菜、果物、ホップを栽培。ヴェーザー川を望む場所では、野菜の販売やファーム・トゥー・テーブルのレモネード、クラフトビールを提供している。
「ジョン アンド ウィル」は、コーンフレークの原材料が保管されていた、穀物サイロを利用した117 室のホテル。ケロッグ社の創設者であるケロッグ兄弟の名から名を取り、2024年8月にグランドオープンした。半円型の建物すべてのフロア、すべての部屋からヴェーザー川が見える絶好のロケーション。装飾は有機素材をつかうことを重視し、すべての家具にリサイクルされた皮革や木材を使用した。ミニバーを置かない代わりに、バーセプション(レセプションとバーのカウンターがひとつになったもの)で水が補充できるドリンクボトルを用意している。 冷暖房システムにはヴェーザー川の水をつかい、館内の照明エネルギーはグリーン電力。ブレーメン中心部まではトラムで15分、川沿いのプロムナードを歩けば2kmほどのウォーキングで到着する。ホテルのレンタサイクルを利用するのもいいだろう。 このニュータウンには今後3年間でさまざまな年齢層向けのアパートメント450戸が建設される予定。さらに企業、商業施設、ビジネスセンター、ヘルスセンター、デイケアセンター、アート&イベントスペースなどができるという。すべてが計画通りに進めば、全体の約55%が2027年までに完成、2031年にフルオープンする。イチからつくられたサステナブルな最先端タウンを、ぜひ訪れてほしい。 協力:ドイツ観光局、text:鈴木博美