世界ビール最大手のインベブが10億ドル投資 「有害な飲酒」どうやめる? SDGsが進むソーシャルマーケティングとは
企業がソーシャルマーケティングを導入する4つのメリット
ソーシャルマーケティングは単なるマーケティングの一つの手法ではなく、キーワードはソーシャルグッドです。だからこそ企業がソーシャルマーケティングを導入するメリットがあるともいえます。ソーシャルマーケティングを導入することで、①社会的影響と長期的な企業価値の向上、②消費者やパートナーとの信頼関係の強化、③持続可能なビジネスモデルの構築、④それらの結果としての企業と地域社会双方の長期的な経済的利益が期待できます。 前回、ソーシャルマーケティングは行動変容にこだわり、共創を通じて、あらゆる社会課題が解決されて誰もが幸せや生きやすさを実感できる社会の実現を目指すとお伝えしました。もう少し詳しくいうと、ソーシャルマーケティングとは、「より良い社会を目指し、個人やコミュニティー、そして社会全体にとっての社会的価値の創造を通して、望ましい行動への変容を促進するための体系的、学際的な枠組み」です。 具体的にはまず「ソーシャルグッドの促進」という原則を徹底します。「より良い社会を目指し、個人やコミュニティー、そして社会全体にとっての社会的価値の創造を通して」の部分です。「グッド(良きこと)」は、時代、文化、置かれている環境、立場によって変化するもので、1つの定義を用いることは難しい。そこで行動変容の主体となる市民を巻き込み、その意思を尊重し、「促そうとしている行動は、その人、周囲の人、社会の役に立つか」「不利益にならないか」を徹底的に問うことが重要になります。 そのうえで、マーケティングの概念を適用します。目指す社会的価値の実現に向けて、①明確な目標を設定し、②市民の声に耳を傾けます。③その市民を、理論、データとエビデンス、インサイトに基づき細分化してターゲティングし、④ターゲットとなる市民ごとに目的とする行動の障壁や競合となる行動を分析し、⑤マーケティングミックスによってプログラムを立案します。 その際、ターゲットの市民の問題を解決したり、より良い生活につながったりするような「市民の価値」の最大化を考えることが、「何かを買いたくなるようにして、ソーシャルグッドにつながる行動を取りたくなること」につながります。それから⑥プログラムを実践するのです。これらの基本的概念を含んだプログラムは、本質的な課題解決につながるかについて多角的、論理的に思考され、文化的に受容され、かつ倫理的なプログラムになっているはずです。