高齢者世帯の6割が「生活が苦しい」。年金だけで100%生活している人は4割しかいないって本当?国民年金・厚生年金の平均月額はいくら?
老後に受け取れる年金の平均額はいくら?
日本の公的年金には「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」があり、どちらを受け取れるのかは、現役時代の働き方によって変わります。 ・国民年金のみ受給する人:専業主婦、自営業者、フリーランスなど ・国民年金と厚生年金どちらも受給する人:会社員、公務員など 国民年金は、原則日本に住む20歳以上60歳未満の人全員が加入対象で保険料は一律なのに対して、厚生年金は、主に会社員や公務員などが加入対象で、保険料は収入に応じて変わります。 国民年金のみ受給の人と、国民年金と厚生年金を受給する人とでは、受け取れる年金額は大きく変わります。 厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金(国民年金を含む)それぞれの平均月額は下記のとおりです。 【国民年金(基礎年金)の平均月額】 ・全体:5万6316円 ・男性:5万8798円 ・女性:5万4426円 【厚生年金の平均月額(国民年金を含む)】 ・全体:14万3973円 ・男性:16万3875円 ・女性:10万4878円 国民年金は保険料が一律であることから、受給額に個人差が生じていませんが、平均月額は約5万円と少ないものとなっています。 厚生年金は、収入によって保険料が変動するため、受給額に個人差が生じやすく、男女によって受給額に大きな違いがあることがみてとれます。 また、厚生年金は国民年金に上乗せして支給されるため、国民年金よりも受給額が高くなっています。 とはいえ、厚生年金の平均月額は約14万円となっており、現役時の給与と比較すると「少ない」と感じた方もいるのではないでしょうか。 さらに、公的年金は毎年受給額の見直しがされますが、2024年度は実質目減りの改定がされています。 次章にて、2024年度の年金額例を確認していきましょう。
2024年度は2.7%の増額改定。しかし、実質目減りという現実
厚生労働省の資料によると、2024年度の年金額は昨年度よりも2.7%増額改定となりました。 【2024年度の年金額の例】 ・国民年金:6万8000円 ・厚生年金(夫婦2人分の国民年金を含む):23万483円 2024年度は2023年度よりも国民年金で「+1750円」、厚生年金で「+6001円」の増額改定となっていますが、改定率が物価上昇率に追いついておらず、「実質目減り」となっているのが現状です。 前述の通り、老後に受け取れる年金額は現役時の給与と比べると少なくなります。 さらに、近年の物価上昇率に年金の改定率が追いついていないことから、「生活が苦しい」と感じるシニアが多くなっているのでしょう。 こうした状況を踏まえ、安心できる老後生活を送るためには、早めの準備が不可欠です。 具体的には、下記3つをまずは実行・検討しておけると良いでしょう。 1.自分が将来受け取れる年金額を確認し、老後の収支シミュレーションをする 2.老後の収支が赤字になる場合はその分を補填できるように資金準備をする 3.老後の年金額を増やせるように繰下げ受給といった制度の利用を検討する 老後の経済的な不安に対処するには、早めの情報収集と計画的な準備が鍵となります。 自身の年金見込額や資金状況を適切に把握し、それに応じた対策をとることで、より安心できる老後生活への道を開くことができるでしょう。