大阪府・吉村知事が定例会見5月11日(全文3完)学と防衛を完全に分けるのは、国民にとってプラスなのか
日本学術会議の声明の問題点は
毎日新聞:ほか、ありますでしょうか。すみません、私もいいですか。毎日新聞社の石川です。5月4日の吉村副代表のツイート、「軍民学融合の国防力が必要だ」というこの件に関して、5月9日の閣議の場で質問がありました。その場では特に大学などの軍事に関する研究の必要性の主張をされるとともに、日本学術会議というのはここはボトルネックになってるということで、それを改める時期に来てるというような説明がありました。これについて少しお伺いします。 まず日本学術会議ですけれども、1950年と1967年に「戦争を目的とする科学技術の研究については絶対に従わない」、そして「軍事目的のための科学研究を行わない」という声明を出しております。まずこの声明の内容そのものに関しても、吉村副代表としてどこか問題点があるというふうにお考えなのか、どこまでは賛同できるけれども、どこからは問題なのか、ちょっと具体的に教えてください。 吉村:まず、戦後間もないころの方針としては僕は特にそこへ異論を唱えるものではありません。なので、僕自身がやはり思うのは国際情勢が大きく変わってきている、これに合わせた変革も必要ではないかと、防衛力を高めるための変革も必要ではないかという意見です。なので、全否定してるわけではないんです。社会の情勢が戦後と大きく変わっている、国際社会の情勢が大きく変わってる、ここをやっぱり重視しなければならないという危機感があります。
国際社会の状況がそう変わってきている
ただ、戦後の、あの直後の時代であればともかく、今どういう状況になってるかというと、やはりこのとりわけ20年を振り返ると、中国における軍事力の強化、これは非常に大きく右肩上がりになっているのが現実です。こういった状況はなかったわけですけれども、これは日本のお隣の国がそうなってきているという、日本の状況とはまた別のものとして、やはり国際社会の状況がそう変わってきているということを認識しなければならないと思っています。 例えばですけども、防衛費に関してみても、中国の防衛費というのは日本のもう今5倍になってます。物量でいくと完全に自衛隊よりも人民解放軍のほう物量が多いという状態になっているのは、もうこれは誰が評価してもそういうような状況になってきています。そして中国については、第一列島線を越えて、次は第二列島線に行くという明確な国としての方向性を持っていると。そのお隣にいるのがわれわれだということをやっぱり認識しなければならないと思っています。 そして、とりわけ、もうロシアについては核をちらつかせて隣国に軍事侵攻をすると、軍事侵略をするというのも、これはなかなか考えにくいことですけども、現実に事実として起きています。現実は変わったと受け止めるべきだと思います。そして北朝鮮は核兵器を持ち、日本を火の海にするということを公言と、トップが言うというような状況になってる。 まさにそういった中国、北朝鮮、ロシアに囲まれてる日本として、どうやって国民を守っていくのか。これについてやはり真剣に考えなければならない時期に来ているというふうに思います。じゃあどうするのかというところで、もちろん国防費を2%という議論もあります。僕もそれは賛成です。ただ、やはり大事なのはこれから人口も減少していく中で、人口構造も変わって国も財政もなかなか厳しいというときに、じゃあ今、中国が5倍になってるところで、そうやって右肩上がりにどこまで防衛費を上げれるかと、また、もっと言うとポートフォリオが大事だと思うんですけど、それをどこまで上げれるのかという、いろんな制約もあるという中で考えていかなければならないと。そうすると、国民を守る、領土、領海、領空を守る、もっと言えば自衛隊の皆さんも守るということも考えたときに、最前線に立つのは自衛隊の皆さんが立つという中で、やはり国防力、防衛力を上げていくということが、これはやっぱり考えなきゃいけない、もうそういう時期になっていると思っています。