なぜ柏木陽介はJ3岐阜の新天地デビューで勝利に貢献できなかったのか
後半終了間際に一度だけコーナーキックのキッカーを担った。飛び出した相手キーパーに弾かれたものの、右からインスイングで放たれた軌道はゴールの匂いを感じさせた。ボールに多く触るスタイルと合わせて、得意とするセットプレーでも岐阜の力になりたいと今後を見すえる。 「もっといいボールを蹴られると思うし、メンバーとの融合というものがなかなかできなかった状況でのセットプレーだったので。誰がどこに入っていく、どのような強さをもっている、という点はプレーしていくなかでもっとわかるはずなので、そのなかで自分のキックのよさを生かしていきたい」 勝てば連勝を「4」に伸ばして首位に浮上するはずが、逆にキックオフの時点で勝ち点「10」で並んでいた富山が首位に立ち、岐阜は一歩後退して3位になった。もっとも、12月5日の最終節まで15チームが各28試合を戦い、上位2チームがJ2へ昇格するJ3戦線は幕を開けたばかりだ。 「ゲーム勘であるとかチームに馴染んでいく、というところはまだまだ足りないと感じた。ここからがスタートだと思って、試合に出る時間をもっと増やしながら、チームのやり方に対してもっともっと理解を深めて次から臨めるように、自分なりにやっていけたらと思っています」 岐阜の一員としてだけではなく、自身にとっても未知の舞台だったJ3でデビューした一戦はあくまで通過点。黒星とともに胸中に刻んだ悔しさも糧にしながら、柏木は前へ進んでいく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)