「海を沸騰させるな!」 管理職のためのメンタルヘルスケア
皆さんご自身のメンタルヘルス、精神的なウェルビーイング(心身の健康や幸福)はいかがでしょうか? メンタルヘルスという言葉は、どちらかと言うとネガティブなニュアンスが強く、今回のタイトルを見て、自分には関係がないと捉えた人もいるかもしれません。 現実には、各地で講演会や研修会に登壇した際、「ベテラン層にメンタルヘルス不調が増加しており、管理職も例外ではない。経験豊富で円熟していて精神的にもタフであるはずだが、こうした傾向をどのように理解すればよいのか?」と質問を受ける機会が増えています。
管理職、ストレスなどでメンタルヘルス悪化傾向
長時間労働が許されない風潮が強いために部下の業務を調整する分、ご自分が肩代わりすることで疲労の蓄積が著しい方もおられることでしょう。国内外の経営環境が特に流動的な昨今、事業運営をリードし、業績を上げ続けなければならない状況で感じるストレスは並大抵ではないと思います。 経営層から求められる数値目標の達成が難しく、役員からハラスメントに相当する叱責を受けて、強いストレスを感じることもあるでしょう。加齢現象に身体的な疲労が蓄積することで、気力にあふれ体力も十分であるはずの管理職であってもメンタルヘルスが悪化する傾向があります。
ウェルビーイングは積み重ねた経験の結果
職場の健康管理に長年携わり、働く人と職場の問題解決の支援を手掛けてきた経験から、「精神的なウェルビーイングは、積み重ねてきた経験と暮らしの結果」と考えるようになりました。 これを機会に改めてご自身のメンタルヘルスの状況を振り返ることをお勧めしたいと思います。その際、参考にできるメンタルヘルスの考え方がWHO(世界保健機関)から示されています。そこには、 「メンタルヘルスとは、人々が人生のストレスに対処し、自分の能力を実現し、よく学び、よく働き、地域社会に貢献できるようにする精神的なウェルビーイングの状態である。それは本質的(内在的)かつ道具的な価値を持ち、我々の幸福に不可欠である。」と定義されています。