米国プライベート・クレジット・ファンドの潜在力と今後の注目点
予め脆弱性への対応を進める必要も
プライベート・クレジット・ファンドは、中堅・中小企業を資金面から支え、米国経済の成長に大きく寄与してきた。また、既に見たように、金融の安定維持の観点からは、幾つかのプラス面も挙げられる。しかし他方で、プライベート・クレジット・ファンドが抱える潜在的なリスクがあることも否定できないところだ。 現時点でプライベート・クレジット・ファンドに大きな問題は生じていないが、米国景気の減速がひとたび本格化すれば、問題が表面化してくる可能性も考えておく必要はあるかもしれない。 プライベート・クレジット・ファンドが、企業の資金調達を助け、経済成長を支えるといった重要な役割が今後も維持されるためには、景気減速が明確になる前に、金融規制当局と当事者とが、プライベート・クレジット・ファンドの仕組みが抱える脆弱性を修正していく取り組みが求められるのではないか。 (参考資料) IMF, "The Rise and Risks of Private Credit", Global Financial Stability Report, April 2024 日本銀行、「 プライベートデット・ファンドの実態と金利上昇下の動向」、日銀レビュー、2024年4月12日 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英