自閉症の息子、要介護2の義母の世話に疲れました……。世帯年収は300万円ほどですが、どうにか「生活保護」を受給できないですか?
家族に介護が必要な方がいる世帯では「介護と日常生活との両立で大変だ」という声をよく耳にします。特に、例えば義理の母に息子にと、2人の人間の世話をしながら生活する状況であれば、なおさらです。 介護に疲れ果ててしまい、どうしたらいいか途方に暮れている方もいるでしょう。そこで、世帯年収300万円で介護に疲れた方は生活保護を受給できるのかについて考えてみました。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
世帯年収300万円では、生活保護を受けられないこともある
地域や家族構成によっても異なる点ではありますが、世帯年収300万円という状態では、生活保護の受給は難しいでしょう。なぜなら、生活保護には世帯の構成や居住地によって基準額が定められているからです。その基準以下でなければ、生活保護による金銭的な支援はなされないようになっています。 確かに、要介護2の状態である義母の介護のために仕事が継続できず、生活が立ち行かなくなるような場合は、生活保護の対象となり得ます。しかし、世帯年収が300万円ある状態では、生活保護を受給するための収入の基準額を満たさず、生活保護が受けられない可能性が高いのです。 生活保護の基準額は、大変低く設定されています。最も基準額の高い、東京都23区など「1級地-1」に区分される都市部においては、夫婦と子1人の世帯であっても、基準額は16万4860円となっています。 世帯年収300万円で「40代の夫と妻、自閉症である中学生の子、70代で要介護2の状態にある義母」からなる世帯において、生活保護を受けるのはそう簡単ではないでしょう。
仕事を辞めたとしても、生活保護を受けられるとは限らない
「世帯年収が300万円あることで生活保護を受けられないなら、仕事をやめたり減らしたりすればよい」と、考える方もいるかもしれません。 しかし、そうしたとしても生活保護を確実に受けられるとは限りません。生活保護は、自身の有する資産や能力などを活用しても、最低限度の生活ができない場合に受けられるものです。 「義母が要介護2という状況で、介護する側の負担が重く、鬱を発症したり過労から体を崩したりして働けなくなってしまった」といったような場合には、生活保護を受けられる可能性があります。 しかし、ただ単に「今がつらい」というだけで仕事を辞めても、生活保護の要件を満たしていないと判断され、生活保護を受けられない可能性があります。健康で、働くことができる場合は、自身で働いて収入を得ることが求められるからです。 そのため、「今がつらい」と仕事を辞めたとしても、生活保護を受けられないことは理解しておくべきでしょう。