円は143円台前半、大幅利下げ観測後退でドル堅調-米イベント待ち
(ブルームバーグ): 10日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=143円台前半で小幅安。9月の米大幅利下げ観測が後退する中、ドルが堅調に推移している。半面、米国の大統領選討論会や消費者物価指数(CPI)待ちの雰囲気も強い。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、CPIを控えているほか、来週は小売売上高の発表もあり、「9月の利下げ幅と年内どのくらい利下げしていくのかの2つを焦点に合わせて、重要指標を見ていく形」と述べた。
米国では10日に民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が初めて顔を合わせる大統領選候補者のテレビ討論会が開かれる。11日に発表される8月CPIは前年同月比で2.5%上昇と7月(2.9%上昇)から伸びが鈍化する見通しだ。
ソニーフィナンシャルの石川氏は、このところ両氏の政策が近くなっており、「どちらが大統領になってもインフレ圧力がかかりそうな政策内容だ」と指摘。討論会自体は「注目されているので手掛かり材料になる可能性はあるものの、ドル・円の方向感をつけるものにはならないのではないか」と話した。
8月分の米雇用統計を受けて、金利スワップ市場では9月17、18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利下げが実施される確率が20%台に低下している。9日の海外市場で円は一時1%超下落した。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「米大統領選挙のテレビ討論会は実際にふたを開けてみないと分からない。米CPIはインフレ鈍化は織り込み済み」とし、ドル・円は目先、143円を中心とした推移になるとの見方を示した。
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Hidenori Yamanaka