【箱根駅伝】学生連合チームで1区希望の"東大ランナー"、原点は校内行事での30km走「陸上の方が高みを目指せる」
11月16日に相模原ギオンスタジアム(神奈川)で開催された10000m記録挑戦競技会で、東京大学の秋吉拓真(3年、六甲学院)が28分52秒31をマークし、全体トップとなった。秋吉を含め、第101回箱根駅伝の関東学生連合チームに選ばれた選手が多く出場した中での好走。東大を受験する頃から夢見た箱根路の舞台に近づいた。 【写真】10月の箱根駅伝予選会で力走する東京大学の秋吉拓真
組の中での順位にはこだわっていた
レースには秋吉の他、東京大学大学院の古川大晃(D4年、八代)や明治大学の溝上稜斗(4年、九州学院)ら、関東学生連合チームに選ばれた16選手のうち、11選手が出場。箱根駅伝10区間の出走に向けた一つの指標にもなるため、タイムだけでなく、学連チーム選出選手内での順位という点でも注目された。 平成国際大学のジョセフ・ムイガイ(2年)がペースメーカーを務め、秋吉はレース序盤から集団の前方につけた。最初の1000mを2分51秒、その後も2分52秒~2分53秒でペースが刻まれ、徐々に集団で走る選手たちの間が開き始めた。5000mを14分21秒で通過し、秋吉は流通経済大学の長谷川瑠(4年、波崎)に続く2番手。8000mを過ぎてペースメーカーが外れた後、秋吉は明治学院大学の栗原舜(4年、三浦学苑)との一騎打ちを制した。 「この組の中での順位にはこだわっていたので、そこで1着を取れたことはすごくうれしいです。ただ自己ベスト(28分49秒27)を出したいと思っていたので、そこにわずかに及ばなかったというところは、まだまだ課題かなと思います」。レース後、秋吉は収穫と課題の両方を口にした。
校内行事の30km走で負け知らずの3連覇
幼稚園の年長ぐらいから、サッカーに打ち込んでいた。高校から陸上に切り替える大きなきっかけとなったのが、中高一貫の六甲学院で開催された校内行事だ。「中学1年生から高校2年生までの全員が30kmを走るという学校行事が、年に1回あるんです。中学1年生のときは中止になっちゃったんですけど、中学2年で初めて走ったときに全校生徒の中で優勝して、高校1年まで3連覇しました」 高校2年のときは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった。高校3年生は受験が近いため、全員が参加しない。つまり秋吉は、参加した30km走を負け知らずのまま、六甲学院での生活を終えた。「サッカーをやめるときも、結構葛藤があったんですけど、陸上をやった方が高みを目指せるんじゃないかと思いました」 記憶が明確ではないが、本人によると高校最初のレースは5000mで16分20秒あたり。以降、毎年30秒程度ずつ縮め、高校3年で14分台に突入した。サッカーをやめて良かったのかという気持ちも徐々に小さくなり、練習すればするほどタイムに表れる陸上の面白さに、のめり込んでいった。