「客観的な数値で判断」「制御できるレベル」政府が宣言解除で国会報告
菅義偉(よしひで)首相は18日、衆院議院運営委員会で、新型コロナウイルス対策として1都3県に発出している「緊急事態宣言」を3月21日で全面解除する方針を事前報告した。東京では感染が再び微増傾向にある中での解除判断となったが、新規感染者数や病床使用率の指標が宣言発出時より改善されたとして「客観的な数値に基づいて判断した」と述べた。 【国会中継】衆院議運委 菅首相が「宣言」全面解除方針を報告
西村担当相「制御できるレベル」と判断
今回の解除の理由について、西村康稔経済再生担当相は、政府のコロナ対策分科会が示したステージ指標において「病床使用率」が埼玉県や千葉県で50%ぎりぎりから30%台まで低下したとして、「ステージ3相当を確実なものとしたと判断した」と語った。 解除後のリバウンド対策としては、都道府県と連携しながら▽モニタリング検査▽変異株のPCR検査▽積極的疫学調査▽高齢者施設への集中的検査――などの取り組みを徹底するとした。 質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表は「東京や埼玉ではリバウンドが始まっていると言わざるを得ない」とこのタイミングでの全面解除は「時期尚早」だと指摘。「首相は1か月後には必ず改善すると言った。感染が収まらないまま解除を強行して第4波が生じたら、総辞職では済まない大きな政治責任が生じる」とただした。 菅首相は、今回の緊急事態宣言下での飲食店の時短要請を中心とした「メリハリのある対策」の結果、1月の宣言発出時に比べて新規感染者数は8割減少したと説明。さらに東京では、解除の目安としていた1日あたりの新規感染者数が500人、病床使用率が50%との数値を下回り、3月17日時点でそれぞれ409人、25%となったデータを紹介し、「客観的な数値に基づいて専門家の意見を踏まえながら判断した」と強調した。 リバウンド対策には「政府として、解除後も再拡大を阻止するための総合的な対策を実施していく」とした。 その上で、自身の責任については「こうした対策を徹底し、今後の感染拡大を抑え、1日も早く収束することに全力尽くすのが私の責任である」と語った。 首都圏での感染状況が増加に転じつつある段階での解除への懸念は他の議員からも示された。自民党の御法川(みのりかわ)信英氏は「最初の緊急事態宣言を解除したときには、東京は1日(新規感染者が)10人程度だった。いまは1日300人でかなりレベルが違う」と質問。西村担当相は、PCRの検査能力が昨年春よりも大幅に拡大し、現在は1日5万、6万件程度行っていると説明し、「感染制御できる能力が上がってきた」と述べた。 リバウンド対策については「今後も小さな流行は起こるが、それを大きな流行にしない。リバウンドを大きな波としない。その決意で医療や保健所に支障をきたさないようにと警戒感を持っての解除だ」とした。 日本維新の会の遠藤敬(たかし)氏の質問に対しても「ステージの基準や指標については専門家も病床の基準を最も重視している。制御力、対応力は去年の春から比べればはるかに上がっている。東京はいま300人前後。これは制御できるレベルだということで解除している」との見解を示した。