「こじはる」ブランドを買収した、30歳社長の思惑、yutori社長「細部に神を宿らせているブランド」
――すると、声を掛けてから割とすぐに提携の話もまとまった? 今年になって急速に距離が接近したイメージ。当社の瀬之口和磨副社長と先方の安倉知弘社長の間で提携のきっかけになる話が立ち上がってから、4~5カ月くらいかな。 heart relation社は経営も順調で、あくまでM&Aはオプションだった。自分たちの事業をより加速させるきっかけになるパートナーがいれば組むけど、そうじゃなければ組まないという。そこに僕らがズバッときた。
こじはるさんだけでなく、会社全体として、僕たち「若者帝国」の連合軍というワードにすごく反応してくれた。これまでオールドスクールの大手企業の傘下に入ると、どうしても「守りに入った」という文脈で回収されてしまう。 今回のM&Aはそうではなく、同年代で同じ志の仲間になってむしろ切り開いていく側面が強い。買収額で協業が決まったわけではなかった。 ■こじはるの知名度は関係ない ――heart relation社をどういう点で評価していますか。
この5年でトップクラスで強烈に伸びた会社だ(2023年12月期実績は売上高29億円、営業益3億円)。それがどうやってできているのか、当社の1ブランドでも売上高が10億円程度なので、参考になる。 あれだけ熱狂的な世界観、熱狂的なファンを作れるのはすごい。それってこじはるさんの芸能人としての知名度とは関係ないですからね。 知名度のある人がやったからうまくいくかというと、そうではない。かなり細部にこだわったクリエイティブのチェックをして魂を吹き込み、自ら(ブランドと商品の)細部に神を宿らせにいっている。
――芸能人が手がけるアパレルブランドは過去にもありましたが、ここまで成功したケースは珍しいです。細部に、とのことですが、小嶋さんは具体的に商品開発などでどう関与されているのでしょうか。 僕も全部を見ているわけじゃないが、会社の成り立ち自体、(本人が)リスクをとって作られている。これまでのライトな関係性で芸能人が作るようなものとはまったく違うし、比べるのも失礼だ。 経営陣にもITベンチャーなどから来た人たちが入って、ビジネス的にスマートだ。若くて、クリエーティブも見ることができる人材もいて、組織として統率がとれている。その結果、創業者のこだわりと組織としての再現性を両立できている。