吉岡里帆 初の洋画作品吹き替えで見つけた新境地 苦労したボイストレーニング「出したことのない声」
“トランスフォーム”のきっかけとなるのかもしれない。女優の吉岡里帆(31)が新次元のリアルCG映画「トランスフォーマー/ONE」(20日、日米同時公開)で、女性戦士のトランスフォーマー「エリータ-1」を演じる。初挑戦となる洋画作品への吹き替えに臨むにあたり、ボイストレーニングでの苦労話など、新境地を切り開いた舞台裏に迫った。 華やかな雰囲気と柔らかな笑顔。そんな“いつもの”イメージとは対極の声が、強く戦うエリータ-1の躍動する姿とともにスクリーンからは流れてくる。「地声よりキーが下だったんで。音程を低く出すのはずっと意識していました。低い声で『おおおぉ~!』みたいなのを、ずっと家で練習していましたね」。振り返る声は、いつも通りに柔らかい。 過去に実写映画7作が世界中で大ヒットを記録した「トランスフォーマー」の最新作。没入感満載のリアルCGで、シリーズを通じて対峙(たいじ)するオプティマスプライムとメガトロンが、固い友情で結ばれている若き日の姿が描かれる。吉岡が演じるエリータ-1は、英語版では米女優のスカーレット・ヨハンソン(39)が声優を務めている。 世界的女優が声を当てる女性戦士役。その印象や、キャラクターのビジュアルに負けないための準備は並大抵ではいかない。声優に特化したボイストレーニングの先生を探し「かわいい声じゃなく、パワフルでかっこいい声を出せるように丹田をもう一回、鍛え直しましょう」という指導で練習を積み重ねた。 当てるのは、これまでの自分とは違う声色。収録は「あまり覚えてないぐらい没入感がすごくて。完全にエリータの動きに乗っ取られる感じというか。声がぶれてしまうので真っすぐ立ってるんですが、めちゃくちゃ汗をかいて」と言う。全身全霊でヒーロー役を演じた。 トランスフォーマーは日本企業が発売した変形ロボット玩具を元に、米国メーカーとタッグを組んで世界展開していったことで世界的人気を得たもの。吉岡自身は幼少期にはレゴやシルバニアファミリーなどで遊んでいたというが、ロボット同士のバトルの熱さは「めちゃくちゃわかります!」と共感。「弟がいるんで、(弟の)戦隊もののフィギュアと私が持っていたリカちゃん人形で『リカちゃん人形VSウルトラマン』などを弟とやってました」と興奮交じりに述懐した。 移動中は、仕事に関連した勉強グッズや台本を持ち込んでせりふ覚えをするなど、多忙中でも乗り物に乗っている時間が「好き」という吉岡。どんな乗り物にトランスフォームしたいかと問うと「旅客機」と間髪入れずに回答。そんな乗り物好きの吉岡に、初挑戦となる本作での洋画吹き替えオファーが届いたことは“運命”だったかもしれない。 「これまで出したことのない声を出した」ことで、新境地を切り開いた。今後、挑戦してみたいことを尋ねると「今回、エリータを演じさせていただいて、自分がそのキャラクターの声ができるって本当に幸せなことだなと。もし、またエリータが出てくる機会があったら、呼んでもらえたら本当にうれしい」と見据えた。強さを打ち出した声を発する吉岡が、活動の幅を広げていく。 ◇吉岡里帆(よしおか・りほ)1993年1月15日生まれ。京都府出身。大学時代から演劇活動を始め、16年5月に「ゼクシィ」CMガールに選ばれるなど活躍。ドラマに映画など活動の場を広げ、声優としては「空の青さを知る人よ」(19年)や「漁港の肉子ちゃん」(21年)で高い評価を獲得。今回の「トランスフォーマー/ONE」で洋画吹き替えに初挑戦した。身長158センチ。