D2C ブランドの法人ギフト戦略 ホリデー商戦を支えるも「顧客が見えない」課題
注文プロセスの自動化
アネクドートキャンドルズの創業者でCEOのジュリー・マスカルカ氏は、同ブランドのコーポレートギフト戦略はここ数年で進化してきたと語る。アネクドートはその名の通り、キャンドルの香りを表現する短い逸話(アネクドート)を専門にしているため、製品のカスタマイズに適している。 2022年、同社は、顧客が香りとラベルの色のメニューに基づいて独自にカスタマイズしたキャンドルを作ることができるコーポレートギフトプログラムを立ち上げた。「その当時、カスタマイズされたキャンドルを提供するのは、非常に細かい手作業が求められる高級サービスだった」と、マスカルカ氏は言う。 同社は今年、さらなる法人顧客を増やすことに注力した。 「今年は、本当にターゲットを絞ったアウトリーチを行った最初の年だ」とマスカルカ氏は述べた。アネクドートは既存の法人顧客を対象とした紹介プログラムをローンチした。また同社は、他のブランドとの競合が少ないことに賭けて、典型的な法人顧客プロファイルには当てはまらないニッチなコミュニティをターゲットにすることにした。そこには全寮制の学校や書籍出版社などが含まれる。 マスカルカ氏は、今年はカスタムの大口注文を案内する際に生じる摩擦を取り除きたいと考えたという。そこで同氏はキャンドルのメニューを作成し、選択できる組み合わせの数を効率化した。 また、カスタマイズのプロセスを自動化することで、今年のコーポレートギフトビジネスの合理化も図ったという。「説明するのが一番難しいのが(キャンドルにつける)キャッチコピーだったので、『AnecdoteGPT』のような(独自の)ジェネレーターを構築したのが、今年行ったもうひとつの大きな投資だ」と同氏は説明した。そのおかげで、ブルックリンにある自社工場で生産するカスタムキャンドルをデザインする際、顧客とのやり取りが大幅に減った。 この技術投資は、今のところ成果を上げている。2024年12月時点で、アネクトードの売上に占めるコーポレートギフトの割合は、昨年の7%から約19%になった。マスカルカ氏によれば「再注文率は約18%」である。 ここ数年、法人顧客のおかげでアネクドートの認知度は向上した。これは将来の注文につながる。「広告やブランディング、グラフィックデザインといったエージェンシーからのカスタム注文が多いのは、そうした顧客が我々が提供しているものを理解してくれているからであり、楽しんでもらえているからだ」とマスカルカ氏は述べている。