同じ年齢でも、老けて見えるのはなぜ?柴田理恵が抗加齢医学の第一人者に聞く、健康長寿の秘訣「老化は病気の一種で治療も予防もできる」
米井 同時に腸内細菌の状態を調べたところ、1000回だった人が4000回に噛む回数を増やすと、菌の種類が2倍に増えることがわかったんです。そのメカニズムは今後詳しく研究していきますが、よく噛んで食べ物がしっかり消化されると、菌もエサとして食べやすくなるのだろうと考えています。 柴田 腸内細菌は、私たちの力強いパートナー。「エサだよ、しっかりお食べ」と思いながら噛むといいかもしれませんね。 米井 よく噛まないで食べると、悪玉菌を増やす危険もあるんです。特に肉などのタンパク質が未消化のまま腸に運ばれると、腐敗菌と呼ばれる悪玉菌のエサになり、異常発酵が進んでしまう。そこで生まれた腐敗物質は、全身の老化にも影響します。 柴田 うわあ、それは避けたい。今日からちゃんと意識します。 米井 柴田さんは料理がお好きとのことですが、普段の食事はどのような内容ですか。 柴田 仕事柄、生活が不規則になりがちなので、朝食だけはしっかり食べたいと思って。ご飯とお味噌汁に、切り干し大根やジャコをのせた大根おろしなど小さいおかずを数種類並べます。あとは目玉焼きや焼き魚。 昼食はお腹が空いた2時半ごろに、小さなおにぎりを食べます。夕飯はお酒と一緒におつまみ系の小さなおかずをたくさん。満腹にならないとお酒が止まらなくなるので(笑)、そうめんをちょこっと茹でたりして。 米井 非常にいいですね。最近は炭水化物を控えてタンパク質を増やすことをよしとする風潮がありますが、摂りすぎも摂らなすぎも老化を進めます。理想は、タンパク質2:脂質2:炭水化物6の割合(カロリーで計算)。 柴田さんはそのバランスが取れていますし、糖化の原因になる高脂質の食品も少ない。また、朝食をしっかり食べているため、昼食後の血糖値上昇も抑えられているはずです。 柴田 おお、よかった! 米井 理想を言えば、玄米を取り入れるとさらにいいですね。食物繊維が多く糖分の吸収が穏やかなため、血糖スパイクも防いでくれますよ。 柴田 玄米は6年ほど続けていたのですが、やっぱり白米の美味しさに勝てなくて(笑)。ただ、炭水化物の摂りすぎにならないように、ご飯は炊いた状態で110g、夫は160g、そうめんなら茹でる前の状態で30gをはかりで量ってから食べています。 米井 ご自分で調節していらっしゃるのですね。素晴らしいです。その調子で続けてください。 柴田 ありがとうございます! (構成=山田真理、撮影=天日恵美子)
米井嘉一,柴田理恵
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