同じ年齢でも、老けて見えるのはなぜ?柴田理恵が抗加齢医学の第一人者に聞く、健康長寿の秘訣「老化は病気の一種で治療も予防もできる」
◆血糖値の上昇が生み出す悪循環 柴田 私の場合、弱点といったらお酒かなあ(笑)。昔はウイスキーやウォッカをストレートでキュッとあおっていました。 米井 実は、アルコールは老化に大きく影響するんですよ。日本人には、お酒を飲んでも顔に出ない「強い人」、まったく飲めない「弱い人」、顔が赤くなる「中くらいの人」がいます。柴田さんはどうですか? 柴田 私は赤くもならないので、強いタイプだと思います。 米井 なるほど。では、アルコールが体内に入ると、アセトアルデヒドという毒性の強い物質ができることはご存じですか。 柴田 ひどい二日酔いの原因にもなる、にっくきヤツですね。 米井 はい。アセトアルデヒド以外にもアルデヒドはたくさん種類があるのですが、これが老化を進める《大敵》です。アルデヒドはタンパク質に非常に強く反応して結びつき、老化を促進するAGEsを体内でどんどん増やしてしまいます。 柴田 老化に関係しているとは知りませんでした。顔が赤くなる人はアルデヒドを分解しにくいぶん、注意が必要ですね。 米井 食後に血糖値が急激に上がり糖化が進みやすくなる「血糖スパイク」も、アルデヒドが原因。さらに、血糖スパイクをきっかけに多種多様なアルデヒドが大量に生み出されるため、非常にやっかいなんです。 柴田 悪循環ですね。 米井 はい。最近の研究では、血糖スパイクによって脂肪からもアルデヒドが作られることがわかってきました。 柴田 内臓脂肪も皮下脂肪も気になるお年頃です。やはり脂肪は減らすべきなんでしょうか。 米井 もともと脂肪は人間の味方。遺伝子やタンパク質が酸化するのを防ぎ、細胞が傷つくのを防いでくれます。体脂肪率が30%未満であればダイエットは必要なく、日々の生活で血糖スパイクが起こらないように気をつければいいでしょう。
◆噛めば噛むほど腸内細菌が増える? 柴田 血糖値の上昇を防ぐためには、どんな生活習慣を身につけるといいのですか。 米井 腸内環境が整う食事を意識するといいですね。理由は、腸内細菌の種類が多いほど血糖値をコントロールできて、糖化を抑制できるからです。 柴田 私は旅公演やドラマなどの撮影が続くと、ホテルの食事やお弁当がどうしても多くなります。すぐ便秘になるので、「食物繊維が足りないのかな」と思って、朝食のバイキングではサラダやおひたしを多めに食べるようにしているのですが。 米井 外食やお弁当は食材が偏りがちなので、それが不調の原因になっているかもしれません。腸内環境を整えるには多様な種類の腸内細菌がいたほうがいいのですが、菌ごとに好みのエサが違うんです。海藻が好きだったり、トマトが好きだったり。ですから、食材の種類をできるだけ増やすことが重要なんです。 柴田 「老化予防にこの食材がいい」と聞いてそればかり食べるのは、むしろ逆効果なんですね。 米井 その通り。食事でもう一つ避けたいのは、よく噛まないこと。大学の研究室で学生たちが1日3食の食事で噛む回数を調べたのですが、少ない人は約1000回、多い人は4000回という差が出ました。 柴田 4倍も違うんですか!
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