経団連の要望「武器輸出解禁」が安倍政権で実現…米国と同じ道を歩むのは「愚かしい」と識者批判【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】
【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#19 政治のみこむ軍産複合体(5) ◇ ◇ ◇ 【政治のみこむ軍産複合体の第1回はこちら】冷戦以降、自民への献金と要望の末に…36兆円を国内軍需企業が受注 防衛大綱とは、およそ10年の安全保障政策の基本方針だ。内閣が決める。これに基づいて、どれくらいの兵器を準備するか5年単位の中期計画を立てる。 2011年度以降の防衛大綱は、前年の12月17日に定められた。時は民主党政権、菅直人が首相だ。 その日のうちに、経団連会長の米倉弘昌(住友化学会長)が、大綱に関する「会長コメント」を出す。 「防衛装備品の国際共同開発・生産への参加が可能となるよう、武器輸出3原則等の具体的な見直しを求めたい」 1990年代は、同盟国である米国に限っての武器輸出を経団連は求めていた。それが10年を経て、露骨に武器輸出解禁を求めるようになっていた。 経団連の要望は、民主党が下野し、第2次安倍晋三政権が発足してから実現する。
「武器輸出3原則」から「防衛装備移転3原則」に
2014年4月、安倍政権は「武器輸出3原則」を、「防衛装備移転3原則」に置き換えた。 15年10月には防衛装備庁が発足した。自衛隊の武器調達や輸出を一括して担うようになった。 法案は、衆議院安全保障委員会で審議した。独協大学名誉教授の西川純子(アメリカ経済史)は、参考人として参加。防衛装備庁の新設について、「軍産複合体」への道へとつながると批判した。 「防衛省が予算を獲得し、新設の機関、この防衛装備庁でありますが、これを民間企業に効率よく配分する過程で、日本の産業は急速に軍事化するだろうと思われます」 「そして、つくり過ぎた武器は海外へ売る。そのために武器輸出3原則は既に廃止されました。これは、日本が自前で武器を開発し、生産する体制づくりに向けて、法整備を着々と進めているということだろうと思います。この先に見えるのは軍産複合体であります」 「ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス、これは有名な言葉でありますけれども。同じことを、アメリカはもちろんほかの国もやっているじゃないかと言われるかもしれませんが、しかし、アメリカの軍産複合体についていささかでも知識があれば、これを、日本でも、アメリカに見習って同じ道を歩もうというのは愚かしいと言うほかないわけであります」 =敬称略、つづく ▽渡辺周(Tansa 編集長) 日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!