「相続は家族をバラバラにすることも、人生を変える贈り物になることもある」。遺産相続弁護士からのアドバイス(海外)
遺産相続弁護士のダナ・ブルー氏は、愛する人を失った家族の相続を手伝っている。 相続は、家の購入や復学、企業経営の機会となることがある。 同時に、兄弟姉妹の仲を引き裂き、相続遺産の喪失や破綻にまでつながることもある。 これは、フィラデルフィアに住む44歳の遺産相続、遺産検証(プロベート)、不動産を専門とするダナ・ブルー弁護士との対談に基づくエッセイである。対談を短く簡潔に編集した。 ブルー弁護士(以下、「私」)は、2017年に弁護士を開業した時、無料で 簡単な遺言の草案を作成した。以降、信託を活用した遺産計画と、遺産管理に関する法的手続き(遺産検証)支援サービスに業務を拡大した。 私は、悲しみに暮れる時に家族を支える機会を大事にしている。だが、悲しみにお金や家族間の関係が絡み合うと、極めて複雑な事態をもたらすこともあるのだ。 私は、相続人や受益者に寄り添い、遺言検認手続きの支援を行っている。資産が分配されると、お金、不動産、あるいは事業を残される人が多い。数千ドル(数十万円)しか相続しない人もいれば、人生が変わるほどの資産を手にする人もいる。 弁護士として約10年間、相続がさまざまな形で人々を良い方にも悪い方にも変えるのを目の当たりにしてきた。そのいくつかを紹介しよう。
1. 新たに手にした資産には、多くの責任を伴う可能性がある
事業を継承すると、事業運営や財務、法務を覚えなければならなくなる。まったく未経験の家業を継いだ人が、拙い財務管理のために数カ月で破産した事例を見てきた。 同族経営を維持するつもりなら、将来のリーダーへの研修や指導を含め、次世代の事業承継方法を詳述した継承プランの作成が不可欠だ。 ある大学生くらいの年の顧客はパンデミック中に父を失い、父の印刷会社を継いだ。突如として彼女は、注文や給与の管理、ベンダーへの支払い、契約やサービス提供、採用や解雇の把握を迫られた。だが、父親は包括的な継承プランを残していてくれた。娘が従うべき会社の方針や手続を文書化し、手を差し伸べてくれる信頼のおけるアドバイザーの一覧をまとめていたのだ。