「相続は家族をバラバラにすることも、人生を変える贈り物になることもある」。遺産相続弁護士からのアドバイス(海外)
2. 相続は人のキャリアの方向性も変えてしまうことがある
これまで見てきたなかで最も影響力のある遺産の使い方のひとつが、教育だ。遺産で学位を取得することは、長い目で見れば高い給与をもたらす投資になるだろう。 4年ほど前、大学に進学したものの、妊娠を機に2年で退学した顧客がいた。彼女は学校に戻って学位を取得したいと思っていたが、未払いの学費と支払いきれない延滞学生ローンのせいで、再入学が認められなかった。 だが、祖父の不法死亡訴訟により遺産を受け取った彼女は、負債を完済し、新たに学生ローンを借りることなく、フルタイムで学校に戻ることができた。
3. 相続のせいで家族と疎遠になることがある
相続はさまざまな形で家族に影響し、ときにバラバラにしてしまうこともある。何人かいる子どものうち1人だけを不動産権利書に加えたケースがあった。また、成人した子どもが遺言から完全に除外されることもある。 あなたがもし、家族や兄弟姉妹のなかで唯一遺産を受け取るならば、他の人は不公平だと思うだろう。これが不信や絶縁、家族間での口論を巻きおこすことがある。こうした問題が起こる可能性を理解しておけば、家族はより良い計画を立てて、故人の意図や思いを忌憚なく話し合うことができる。
4. 遺言がないと、さらなる不和を巻き起こすことがある
故人が遺言を残さないと、家族関係は最もぎくしゃくする。米国では、裁判所が遺言を検証(プロベート)し、遺言書や法定相続分に基づき遺産を分割する。したがって、遺言や信託がないと、住んでいる州の無遺言相続法に沿って故人の資産の分配方法が決められてしまう。 遺産検証手続に入ると、家族は支配力を失ったと感じることがある。こうなると遺産相続弁護士は、故人が本当は願っていたかもしれない方法ではなく、州法に従って遺産を分配しなければならない。これは、継子や婚姻関係にない長年のパートナーは遺産を少しも受け取る権利がないということだ。一方で、20年も前に家を出て家族と疎遠だった兄弟でも、50%を相続できる可能性がある。 こうした例があるからこそ、州による遺産分割方法ではなく、人生で大切な人に自分が望んだ方法で資産を渡せるよう、相続計画を作成しなければならないと口を酸っぱくして言っているのだ。