エネルギー事業会社で最も早く「CO2ネット・ゼロ」を宣言…東京ガスが考える“再生可能エネルギー”の重要性とは?
◆菅沢伸浩が考える“DX人材”育成
続いて、東京ガスにおけるDXの課題を伺うと、菅沢さんは2つあると指摘。「1つは“スピード”。デジタルの進化は我々が想像しているよりも早いので、いかにそれをタイムリーにキャッチして、事業に取り入れていくかが重要だと思います。2つ目は、トランスフォーメーションにつなげていくこと。デジタルはあくまでも手段であり、それだけ取り入れても何も変わらないので、新しいものを作り上げることをセットで進めていくことが大事ですね」と言います。 また、東京ガスという会社自体“イノベーション”の気質があるとも。「CO2のネット・ゼロ宣言も日本のエネルギー事業者として初ですし、ガス自体もガス灯から始まり、さらには電気にもなるなど、ガスの変革の歴史を体現してきた会社だと思っています」と菅沢さん。 イノベーションを促すにあたっては、いまやDX人材の存在は不可欠。そこで笹川が、「DX人材の確保にあたって、育成を重視されているのか、外からやってくるスペシャリストを獲得するのとでは、どちらが近いですか?」と伺うと、菅沢さんは「結論から言うと両輪ですが、育成についてはプログラムを毎年アップデートしながら、多くのDX人材をつくるべく取り組んでいます」と話します。 特に実務研修に力を入れており、数ヵ月間に渡って実施することもあるそうで「ちょっとした成功体験を積んでもらうことが大事だと思っていますので、そうしたことを意識した研修体系になっています」と明かします。 最後に、菅沢さんに近未来のビジョンを伺うと「一般論としては、間違いなくAI(人工知能)がより進展すると思います。例えばスマホで検索する際もまずは情報を入れて、その答えをもらって、また情報を入れてと複数やりとりしますが、今後はAIが先読みをして、我々が考える前に提案してくる世界になると思います。これと似たような考え方が(東京ガスの新たなブランド)『IGNITURE(イグニチャー)』のコンセプトだと思っています」と言及。 続けて、「例えば、法人に向けて我々はAIを使ってお客さま自身よりもお客さまを知る立場になりたいと思っています。これは何かというと、我々はガスや電気を使っていただいているので、当然エネルギーに関するデータや設備のデータがありますし、世間には企業情報やさまざまな業界の情報があるので、これを人が一つひとつ見て解析するのは困難です。しかし、その情報をAIに入れることで、お客さまの課題から解決策まで自動的に答えを出してくれて、我々はそれを持ってお客さまと会話をする。そうすると、お客さまが抱える“なんとなくモヤモヤしていた課題”も明確になりますし、次の展開が考えられる。そういったことをスピード感を持って進めていきたいと思います」と語っていました。 (TOKYO FM「DIGITAL VORN Future Pix」2024年10月12日(土)放送より)