兵庫で公益通報窓口を外部の弁護士事務所に設置へ 斎藤知事文書告発問題受け新制度
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑や贈答品受領疑惑などが文書で告発された問題を受け、県は11日、県職員らがより公益通報しやすい環境を整備するため、外部窓口を県内の弁護士事務所に設置すると発表した。16日から運用を開始する。告発文書を配布した元県幹部の男性=7月に死亡=を公益通報の保護対象とせず、内部調査によって懲戒処分とした県の対応に批判が集まっていた。 問題をめぐっては、男性が今年3月、一部の報道機関や県議らに告発文書を配布し、4月には文書の内容の一部を県の内部に設けられていた公益通報窓口に送付。男性は、事前に報道機関などに文書を配布した理由について「(県の内部窓口は)信用できない」と説明していた。県は5月、「(文書の)核心部分が事実ではない」として男性を停職3カ月の懲戒処分とした。 公益通報者保護法では、通報した人に対する不利益な取り扱いを禁止し、内部通報の体制整備を求めている。常時勤務する人が300人を超える組織には、窓口の設置が義務付けられる。令和5年度の消費者庁の調査によると、弁護士事務所など外部に通報窓口を設けている都道府県は6割を超えたが、兵庫県では窓口が内部にしかなかった。 外部窓口は今月16日、県弁護士会から推薦された県内の弁護士事務所に設置。通報はメールで、実名と匿名どちらでも受け付ける。調査が必要だと判断した通報は、匿名化した上で担当部署に調査を依頼。内容によっては第三者である外部の弁護士による調査も行えるよう、要綱を改正した。 このほか、斎藤知事の物品受領やパワハラなどの疑いが指摘されていたことから、県は物品受領ルールの明確化、幹部職員や知事らを対象としたハラスメント防止などを実践的に学ぶマネジメント力向上研修の実施を決定し、この日発表した。 物品の受領については、財務規則を改正し、無償借り入れに関する手続きを明確化。規則対象外の食品などの受領については受け取れるか否かのガイドラインを策定した。食品などは利害関係者からは原則受け取らないことなどを定め、知事や副知事、一般職員が対象となる。改正規則の施行やガイドラインの策定は11日付で、それぞれ罰則はない。