「警固界隈」福岡市・警固公園に集まる若者の「保健室」…大学教員や医師ら月1回開設「安心できる場所を」
田中さんは「公園に集まる若者は周囲に相談できる人がいないようにもみえる。保健室でのちょっとした相談を通して、話を聞いてくれる人がいることを知ってほしい」と語る。
4割が家に帰らなかった経験
大西さんらのグループなど公園で支援活動を行う団体が連携して、昨年9月から今年3月まで公園にいた若者約210人にアンケート調査を実施した。
年代は中学生を含む10歳代が6割を占めた。4割が家に帰らなかったことがあるといい、期間は「数日」が4割で最も多く、「約1週間」が1割強だった。半年以上も一定数いた。帰宅できない理由を聞いたところ、「虐待」や「過干渉・過保護」といった家庭環境の問題が目立った。
心身の健康についての質問では、不眠や悲しさ、寂しさなどを6割以上が訴えた。3人に1人がオーバードーズや自傷を経験。2人に1人が「死にたい」と思ったことがあった。
こうした中、「保健室」以外にも公園内に若者の居場所や相談場所を設ける動きが広がっている。
社会福祉士や弁護士らでつくる団体は8月から毎週月曜、安全安心センターにフリースペースを開設。無料で食事を提供しながら、必要に応じて相談に乗っている。
団体の代表で、社会福祉士の木戸勝也さん(40)は「公園は悩みを抱えた若者の『居場所』や『逃げ場所』。安心できる場所を連携して作っていきたい」としている。
◆警固界隈=警固公園に夜間に集まる若者たちの通称。「警固キッズ」とも呼ばれる。数年前からSNSで定着した。犯罪や被害の防止のため、福岡県警も補導を強化するなどの対応を行っている。