「私はこのスタイルでいい」 飛距離を気にしない技術/山下美夢有インタビュー<後編>
―自分は自分やと 「体を飛距離に特化していくのは、私にはあんまりいい感じではないと思ったんです。自分のスタイル的に。だから、動きのあるトレーニングとかをやりつつバネを、というのが大事やなと。軽いウエートとかはええけど、そんなガツガツは。野球みたいに『飛ばすために!』とかないから。だって、(両手で円を作って)こんなカップに入れないといけないんですよ。だから、私は別にこのスタイルでいいかなって。飛んでもスコアにつながらんかったら一緒。『内容がないな』と」 ―24年は竹田麗央さんと回ることが多くて、ぶっちゃけドライバーで30yd、時には40ydとか置いていかれたでしょ? あれも気にならんかった? 「あの飛距離は魅力やなあとは、もちろん思いました。でも、あんまり(意識は)なかったかもしれないですね」
“食”への不安と楽しみな「アメフト」
自分のスタイル、技術への自信は深まってきた。あとは、それを出し切れるか。山下は24年「全米女子オープン」で12位になったが、大会前に現地で発熱し、日本にいた両親に欠場を勧められる一幕もあった。生まれて初めて親元を離れ、不慣れで広大なエリアを転戦するシーズン。いかに体調を整えるかが大きな課題かもしれない。
―さて、アメリカの“食”は大丈夫? 以前「ウチの家族は全員ダメ」って言うてたけど 「(笑って)はい、全員ダメです。ほんまに(海外で)どこに行っても(満足に)食べられないんで。Qシリーズ(最終予選会)では(マネジャーが)毎日ごはん作ってくださったんです。めっちゃ、ありがたかった。トンカツとか作ってくれるし、他にピーマンの肉詰め、パスタ、カレーにお鍋も」 ―山下さんもそれを手伝って? 「いや、私は(飲み物、食器を)準備して…ごはんは一切…」 ―毎度そうはいかん。海外で食事に対応せんと 「そうですね。どんな感じになるか。基本は日本食を中心にと考えてます」 ―英語は? 「ペラペラしゃべるのは多分無理なんで、とりあえず、このオフに大事な単語を何個か覚えます。ゴルフ場なら、ゴルフの単語とか覚えとけばなんとかなるじゃないですか?」 ―転戦続きやとオン・オフの切り替えも大事になる。ゴルフ以外で楽しみにしてることはある? 「アメフトとか、ラグビーとかを見に行ってみたいです。NFL? そうそう。あのボールゲーム系、ボール持って走ってっていう。ボールを打つの(MLB)もありやけど、それはいいです」 ―総合格闘技とかボクシングが好きやから、やっぱり“激突系”がええみたいやね。でも、アメフトって超人気スポーツやしねえ… 「はい。(両手を叩きながら)やっぱり“バーン!”てやつを見たいです。なんとかチケットとって」
◇◇◇ すべてに手探りのシーズンは「出られる試合から出ます」と、開幕2戦目「ファウンダーズカップ」(2月6―9日/フロリダ州ブラデントンCC)から参戦を予定。「日本の試合は、今はまだ考えられないです」と言い、米ツアーに専念する。