なぜ渋野日向子は3年前Vの全英女子OP初日で単独首位発進に成功したのか…マレット型パターの強気パッティングに強風対策
女子ゴルフの今季メジャー最終戦、AIG全英女子オープンが4日に英国スコットランド・ガレーンのミュアフィールド(6680ヤード、パー71)で開幕。2019年大会覇者の渋野日向子(23、サントリー)が8バーディー、2ボギーの6アンダー65で回って単独首位発進した。日米で出場した直近の8大会で予選落ち6回、棄権1回と不振続きだった渋野だが、2大会前から使用しているマレット型のパターがフィット。復活した強気のパットに「自分が自分でないぐらい」と声を弾ませた。2位には1打差でジェシカ・コルダ(29、米国)がつけ、上位9人が3打差以内にいる混戦状態での初日スタートとなった。
「もう自分が自分でないぐらいパッティングが入ってくれた」
ティーオフした午前7時36分(日本時間4日午後3時36分)の気温がわずか11度。冷たい雨に打たれ、青空が広がったバックナインに入ってからはピンを大きく揺るがすほどの強風に吹かれても、渋野のバーディーラッシュは止まらなかった。 1番(パー4、404ヤード)で約8メートルの下りスライスラインを鮮やかに沈めると、2番(パー4、344ヤード)では約3メートルのフックラインを完璧に読んで連続バーディー。好調なパットに導かれるように、3番(パー4、362ヤード)では第2打をピンそば約20センチにつけるスーパーショットまで飛び出した。 3連続バーディーで発進したフロントナインを4アンダー。バックナインでもさらにスコアを2つ伸ばし、ホールアウトした時点で単独首位に立った初日を、渋野は「こんなにいいゴルフができたのはいつ以来ですかね」と恐縮してふり返った。 「もう自分が自分でないぐらいパッティングが入ってくれたので、すごく緊張感がある1日でした。まだ自信はないですけど、先週に比べたら1メートルぐらいの上りのパットをすごく強気に打てている分、あれだけの結果になったのかなと思います」 終わってみれば、3パットはボギーを叩いた4番(パー3、189ヤード)の一度だけ。トータルを28でまとめた強気のパットは、特にバックナインで顕著だった。 ともに1メートル前後のバーディートライとなった16番(パー3、179ヤード)と17番(パー5、537ヤード)で、3年前の全英女子オープンを制したウイニングパットで一躍脚光を浴びた“壁ドン”で難なく沈めている。 常にカップをオーバーする理想のパッティングを再び具現化できた理由は、後方に丸く膨らんだような形状からかまぼこ型とも呼ばれ、フェースの開閉を抑えたストロークに合いやすいマレット型へ変えて3大会目となるパターにある。 今季のメジャー最終となる全英女子オープンを前に、渋野はこう語っていた。 「3年前の全英女子オープンで優勝してから、本当に散々な結果しか残せていないので、新しい自分としてまた挑戦したい」 念願だった本格参戦を果たしている今季のアメリカ女子ツアーでも、ホンダLPGAで8位、シェブロン選手権で4位、ロッテ選手権では2位に入るなど、4月中旬までは好調だった。しかし、一転して4月最終週以降は不振にあえいでいる。