私がゲイを公表して働く理由。セールスフォース社員「もう同じ思いはしてほしくない」
「当事者こそ声を上げないといけない。そう思っています」 セールスフォース・ジャパンでシニアソリューションエンジニアの相場謙治さんは、職場でゲイであることをカミングアウトして働いている。 【全画像をみる】私がゲイを公表して働く理由。セールスフォース社員「もう同じ思いはしてほしくない」 全世界で約7万2000人の従業員を抱えるセールスフォースは、組織の多様性(ダイバーシティ)を重視する取り組みを率先して進める企業としても知られる。日本では婚姻の平等を求める活動「Business for Marriage Equality」に参画、LGBTQ+に対する独自の支援制度も設けている。 相場さんはセールスフォースに入社する前にも、婚姻の平等を求める全国一斉訴訟、いわゆる「同性婚訴訟」の原告の一人としても活動していた時期もあり、これまで実名・顔出しで当事者の声を発信してきた。 「ときには激しい批判も受けました」──。相場さんはなぜ、声を上げ続けるのか?
「受け入れてもらえると分かっていた」
相場さんが社内のチームメンバーに対してカミングアウトしたのは、セールスフォース・ジャパンに転職してすぐの2022年1月。関心のあるテーマについて、メンバーそれぞれ数分間スピーチする場でのことだった。 「スピーチでは、プロダクトに関わる技術的な話題や、焼き芋の焼き方、マグロの一本釣りについてなど自由に話すのですが、私はパートナーシップ制度と婚姻の平等をテーマにしました。そのなかで自然とカミングアウトした形です。 カミングアウトをしてもメンバーからは普通に受け入れられたとは思います。逆に言えば、受け入れてもらえると分かっていたので、抵抗なくこのテーマを選べたのだと思います」 相場さんは現在、LGBTQ+当事者とそのアライを支援する社内コミュニティ・Outforceにも参加している(Outforceにはグローバルで従業員1万人以上が参加。日本支社の参加人数などは公表していない)。 相場さんは日本でのOutforceのリーダーの一人を務める。2024年4月に開催された、性的マイノリティのためのイベントとしては国内最大規模の「東京レインボープライド(TRP)」では、企業スポンサーでもあるセールスフォース・ジャパン企業ブースでの展示内容の検討にも関わった。 セールスフォース・ジャパンは2019年から東京レインボープライドに協賛。2024年のパレードには、過去最多となる250人の社員らがボランティアで参加した。 相場さんは東京レインボープライドのWebサイトにも、写真付きでインタビューに応じている。他のスポンサー企業のWebページでは、人事部やアライ(LGBTQ+当事者の理解者・支援者)組織など当事者以外の活動を紹介するケースが多いなか、相場さんは当事者としての声を発信した。 「アライからの協力で実現する変革もありますが、当事者として、自分の言葉で伝えたいという思いが前からありました。 僕の仲間にはクローゼット(性的指向を公表しないこと)で、当事者としては発言できない人もたくさんいます。表に出られないひとたちのためにも、できるところまでやりたい」