昔はクリンスマン、クローゼらがいたのに なぜドイツからストライカーは消えたのか「衰退の原因の一つは得点力不足だ」
偽9番など追いかけすぎたトレンド
ドイツ代表に絶対的なエースストライカーは出てこないのか。この課題は、EURO2024が迫る現在もドイツサッカー界の悩みの種となっている。 過去のドイツにはゲルト・ミュラーやユルゲン・クリンスマン、21世紀ではミロスラフ・クローゼなど絶対的なエースがいた。今のドイツにもテクニシャンは数多く揃うが、いわゆるゴールゲッターと呼べるタイプの選手は多くない。 英『BBC』はドイツからなぜストライカーが消えたのかと取り上げているが、元代表選手のシュテファン・フロイント氏も世界の頂点に立てていない理由がここにあるのではと語る。 「これは我が国にとって非常に大きな意味を持つ。過去には(ゲルト・)ミュラー、クリンスマン、フェラー、そして最近ではクローゼなど、ゴールを決める選手が常にいた。しかしクローゼ以来、我々には本当にワールドクラスのストライカーがいない。それこそ我々が世界のトップに立てていない理由かもしれない」 ドイツは2014年のワールドカップ・ブラジル大会を制しているが、この頃よりドイツでは『偽9番』のアイディアも生まれてきていた。マリオ・ゲッツェを最前線で起用するなど、ヨアヒム・レーヴの下でサッカー界のトレンドを取り入れるテストが行われてきたのだ。同メディアは、こうした取り組みもセンターフォワード不足に繋がった原因ではないかと見ている。 「彼らの衰退の原因の一つは得点力不足だ。2014年ワールドカップ以降に出場した4つの主要大会で、彼らは21ゴールしか決めていない。それ以前の4大会では50ゴールも決めていたのにだ。ドイツ代表のプレイスタイルが変化した始まりは、おそらく2010年頃よりスペインがストライカーの代わりに偽9番を起用し始めた時まで遡るかもしれない」 それは育成の現場にも影響を与える。ドイツのコンスタンティン・エックナー記者は、今のドイツではユース年代でも優秀なストライカーが育たなくなったと嘆く。 「ドイツのユースチーム、例えばブンデスリーガのビッグクラブの19歳以下や17歳以下を見てみると、才能あるウイングやプレイメイカーはたくさんいるが、高度なスキルを持ったストライカーはあまり出てこない。サイズはあるけど、テクニックレベルがあまり高くない選手がストライカーとしてプレイしているイメージだ。そうした選手はブンデスリーガのトップチームに昇格すると、テクニックが不足していることが問題になる」