定年退職後、Uターンする際にかかる費用とは?|利用できる支援制度や仕事の選択肢を解説【シン・会社のマナー】
人生100年時代となり、定年後の人生も長くなりました。少子高齢化の進展により、高齢者が活躍するための法改正が次々と施行され、定年後も働く高齢者は増えています。定年後の生活設計をどうするかというのは大きな問題です。再雇用制度などを利用して同じ会社で働く、転職・起業するなど選択肢は様々です。 写真はこちらから→定年退職後、Uターンする際にかかる費用とは?|利用できる支援制度や仕事の選択肢を解説【シン・会社のマナー】 中には、定年という節目を迎えて、郷里に戻って暮らしたいと考える人もいます。ただし、定年後のUターンは、理想通りとはいかないのが現実です。今回は「定年後のUターン」について人事・労務コンサルタントとして「働く人を支援する社労士」の小田啓子が解説します。
定年退職後、Uターンする場合にかかる費用
定年後のUターンとは、どのようなものでしょうか? 学生などが就学・就職のために故郷を出て、地元とは異なる土地に移住することを一般にIターンと呼んでいます。一方でUターンとは、故郷を出て移住した人が再び元の地方に戻ってくることです。定年後のUターンは、長い会社員生活を経てから故郷に戻ることになります。 故郷を離れ、都会で仕事を続けていた人の中には、定年を機に地元に帰る選択をする人は一定数います。都会育ちでありながら地方で働いていた人も、定年後再び都会に戻るケースも見られます。Uターンを考えるきっかけは、地元の両親が高齢になったことや、定年で老後の生活環境を考えるようになったことが大きいようです。 両親に孝行したいという思いに加えて、老後は慣れ親しんだ土地で落ち着いて暮らしたいと考える人は少なくありません。こうした傾向は、特に地方出身の男性に多く見られます。 ◆Uターンする際の注意点 ただし、Uターンを考えても実行に移すことは簡単ではありません。まず最も大切なのは、家族の意向です。次に家族の賛同を得られたとしても、住むところや仕事をどうするかという問題が出てきます。実家に住むという選択肢もありますが、夫婦で移住するとなると家の改修や新築が必要になる場合もあるでしょう。引越費用もかかりますし、現在の自宅を処分することも考えなければなりません。 自宅を売却する場合は、3%程度の不動産仲介手数料が必要になります。さらに、定年退職後は収入がなくなりますから、生活費確保の問題も出てきます。総務省が公開した令和4年の『家計調査年報』によると、定年後の夫婦の平均的な生活費はおよそ26万8千円というデータもあります。Uターンを考えている人は、生活費を含め堅実な資金計画を立てることが重要です。 定年前から十分に準備をして、貯蓄・退職金・自宅の売却金などは浪費せず、その後の出費に備えられるようにしておきましょう。