イラクで一時拘束の常岡浩介氏が会見(全文1)イスラム国メンバーではない
で、その2日後にもう一度、大使館の方が来てくださいまして、その時点ではすでに私の帰国のための切符を予約したとおっしゃいました。すでに、最初に来てくださったときに、クレジットカードと現金を大使館員の方にお預けして、私のお金で私の帰国の便の切符を買っていただくというふうなことをお願いしておりました。切符がすでに購入されているというので、もう解放はほぼ間違いないということだったんですが、強硬であるということ自体は、大使館員の方の説明では変わっていないと。で、私のほうからその場にいらっしゃった、その場にいたアサイシュの幹部の人にいろいろ質問をしました。分かったのは、私はクルド自治政府から国外退去という形で出国する予定であるということ。なぜそうなるのかといいますと、インベスティゲーション、捜査がまだ終了していない。捜査が終了していない以上、私は容疑者のままである。なんですか。記者会見に紛れ込もうとしたイスラム国のメンバーだったかもしれない容疑者という形なので、これはある意味危険人物扱いになっている。 ですから、日本側としては身柄を、こういう凶悪犯かもしれない身柄の引き渡しなので、普通だったら日本まで護送して日本で収監するということになるわけなんですが、日本の法律では、たとえイスラム国のメンバーであるとしてもそれだけでは犯罪にならないというのがありまして、日本側で収監なんてできないわけなんです。 どういうふうに結局、決めたかといいますと、日本側としては私をイラクから出してそのまま放置する形にすると、受け取ったパスポートを持って私はまたどこかに姿をくらましてしまうかもしれない。そうなると、日本側では大したことがなくても、クルド側にとっては記者会見に紛れ込もうとしたメンバーかもしれない男がどっかへ消えたという、大変な事態になってしまうので、日本に帰すということは確実にやらなければいけないということなので、持っているパスポートを、日本大使館員の人に一時返納をする。で、バグダッドの日本大使館が帰国のための一時書類というものを発行して、私に渡す。その一時書類を持って私は日本に帰る。一時書類は帰国にしか使えないので、私は行方をくらますことができないわけです。そういう形であれば、問題がないだろうということで私は同意しまして、大使館員の方に自分のパスポートを返納いたしました。 そういう形で、NHKなどで常岡氏がパスポートを返納というニュースが出て、以前ありましたパスポート返納命令と同じパターンではないかという疑惑といいますか、そういう動揺みたいなのが流れたようだったんですけども、パスポート返納命令ではございません。大使館員の説明では、私のパスポートはバグダッドの日本大使館から東京都庁の旅券課に送られる。そこから私にまた返却される。だいたい17日ごろには返却できると思います、という説明でした。 それから私はアサイシュの幹部の方にさらに聞きました。強制退去という形で出たあと、私は再入国ができなくなるんでしょうかと。そうしましたら、そのアサイシュの方、捜査自体が終わっていないので、それまではあなたの処遇は一切決まっていない。もしも捜査の結果、あなたは黒だということになったら、私たちはあなたを入国させないでしょう。しかし、白だというふうに判断した場合は、また来てもらうことが可能になるでしょう。捜査の結果は日本大使館にお伝えしますというのが回答でした。