出会いの春、優しいニュアンスカラーはうっとり素材のロロ・ピアーナで
■創業100年 原料からの一貫生産が生むエレガンス
ロロ・ピアーナは、ピエトロ・ロロ・ピアーナ氏が1924年に創業し、今年で100年を迎えたラグジュアリーブランドです。カシミヤ、ビキューナ(ラクダ科の動物で、その体毛からつくる上質な繊維のことも指す)、ウールなどの最上質原材料を使って、メード・イン・イタリーの本物を送り出し続けてきました。 トップテーラー(仕立て服店)に極上の服地を提供するのに加え、自らもアパレル事業を手がけています。2013年に仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループに加わりました。20年には東京・銀座に旗艦店を構えています。 トレーサビリティー(生産履歴の追跡)が確かなのは、原材料からの一貫生産を守る「ロロ・ピアーナ」ならでは。デジタル技術を用いてサプライチェーン(供給網)の透明性が保たれています。装いにもSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた意識が求められるなか、頼もしい先進性です。南米アンデス山脈の高地に暮らすビキューナや内モンゴルに生息するヒルカスヤギを守る活動にも熱心に取り組んでいます。 原材料の繊維を自ら紡ぎ出す服飾ブランドはまれです。一貫生産から育まれたクラフツマンシップ(職人技)がしなやかなシルエットや、やさしい着心地を裏打ち。素材感を重んじた、控えめなエレガンスは、飾り立てない「クワイエットラグジュアリー」の流れを先取りしていたかのようです。 押し出しが強すぎない曖昧色は、着た人の主役感を引き立ててくれます。シーズンやシーン(場面)を気にせず、マルチに着回せるのもうれしい長所。上質素材とのマリアージュは、長く愛着を感じられる「タイムレス」なウエア選びにつながるから、この春はニュアンスカラーをおしゃれの選択肢に加えてみてはいかがでしょう。 文・宮田理江(ファッションジャーナリスト)
■宮田理江
トレンド情報や着こなし解説、コレクションリポート、スタイリング指南をメディアや個人サイトで幅広く発信。異なるテイストのミックスコーディネートが得意。自らのテレビ通販ブランドを持つ。ディレクション業務、イベント登壇もこなす。毎日ファッション大賞選考委員。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。