出会いの春、優しいニュアンスカラーはうっとり素材のロロ・ピアーナで
連載《ファッションハック》Vol.21
やわらかいトーンのニュアンスカラーは人柄までソフトに見せてくれるから、出会いが増える春向きです。出しゃばらず柔和なムードはオフィスにもマッチ。着こなしに苦労しないのは、原色からずらしてくどさを抑えた中間的な色のいいところです。上質な素材が控えめの色を引き立てます。今回はカシミヤをはじめとする極上素材で知られる、創業100年のイタリアブランド「ロロ・ピアーナ(Loro Piana)」にフォーカス。日本に敬意を払って発表した2024年春夏コレクションを通して、「曖昧な色」の生かし方をお伝えします。 【写真で見る】ロロ・ピアーナの極上素材を生かした、さまざまなルックはココから! シックなワントーン、渋め色を生かしたコントラストなど着こなしのヒントが見つかるはず
花鳥風月をめでる日本人は、昔から自然が生む曖昧色を好んできました。鮮烈なビビッドカラーとは違って、穏やかな情感を宿した色は日本古来の美意識と結びついています。「ロロ・ピアーナ」の24年春夏コレクションは日本文化との親和性を重視。カシミヤやシルクなどの厳選素材を用いて、アースカラーや中間色を多用しました。ニュアンスを帯びた色の塩梅(あんばい)が生地の風合いを一段と引き立てています。
■ワントーンできちんと見え 柔和でピュアな印象に
純白は清らかなイメージが強すぎて、やや扱いにくい色。ですが、アイボリーやオフホワイトのように少しソフトな色調なら、ぐっと手なずけやすくなります。全体を同じ色合いでそろえる「ホワイトルック」の場合、柔和さとピュア感が両立する点でも好都合です。 ニット帽から靴までミルキーな白系でまとめました。白ならではの品格に、自然体ムードを寄り添わせているのは、ドレープやたるみの効果。リラックス気分を示す襟なしシャツとゆったりしたパンツのセットアップ。ウエストはドローストリングで無造作っぽく締めてくつろいだ景色に。やさしげな色が気持ちまでほどくかのよう。気負わず伸びやかな「抜け感」が漂う着こなしです。 ブラウン系は落ち着きが備わり、オフィスにもなじみやすい色です。ロロ・ピアーナでも特別にプレミアムな「ウィッシュウール」 カシミヤとの組み合わせは素材のクオリティーを引き立てます。秋に着る「オータムカラー」のイメージがありますが、実はシーズンをまたいで使いやすい「通年カラー」。色をそろえる「ワントーン」でまとうと、シックに決まります。 ブレザーと細身パンツの上下を、柔らかく軽い毛織物の「フランネル」で仕立てました。カシミヤを織り込んだ生地ならではのつやめきがブラウンに特別感を上乗せ。スカートのようなドレープ付きのベルトをパンツに重ねて、性別にとらわれないジェンダーレスの雰囲気を添えました。癖のないニュートラルカラーはジェンダーを意識させないスタイリングにも向いています。