AI競争にしのぎを削るビッグテック、原子力企業にも食指
原子力推進
すでに議員らは原子力発電の拡大を支持する姿勢を見せている。バイデン大統領は7月、超党派の支持を得て、原子炉の新規建設をより容易で安価に、かつ迅速に認可・建設できることを狙いとした法案に署名した。そして昨年の国連気候変動会議、COP28で米国は20カ国以上とともに50年までに世界の原子力発電容量を3倍にすることを誓約した。 一部の専門家は、気候変動対策に役立つ高価でもクリーンなエネルギー源を推進するには、テクノロジー業界の投資が不可欠だとの見方を示す。 ジェネラル・フュージョンは自社技術の実証段階だが、核融合は原子を分離するのではなく結合するため、核分裂よりもさらに安全な選択肢になるとみており、「開始するのは非常に困難だが、停止するのは非常に簡単」だと述べた。 しかし一部の専門家は、規制に抵抗することで知られる業界のリーダーらによる原子力への多額の投資について懸念を表明している。リーダーらは規制が安全性向上を目的としたものであっても、計画を遅らせかねないとなれば戦う可能性がある。 憂慮する科学者同盟の原子力安全担当責任者、エドウィン・ライマン氏は「国民を守るために本当に不可欠な安全のルールが実際に打撃を受けるのではないかと強く懸念している」と述べた。
アルトマン氏のオクロ
13年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の卒業生2人によって設立されたオクロは、「地球規模の豊富で手頃な価格のクリーンエネルギーを生産する」先進的な原子炉を開発しているとうたう。同社の社名は、アフリカ・ガボンのオクロ地区にちなんで名付けられた。科学者によると、同地には約20億年前に地球で唯一の天然原子炉が存在していた。 オクロは、より少ない燃料でより大きな出力を生み出すことができる、いわゆる「高速炉」を建設している。つまり、小型化・低価格化を実現できる。また、他の発電所の使用済み核燃料をリサイクルできるという。同社はこれらの小型原子炉の電力をデータセンター運営者などの顧客に直接、場合によっては現場で直接販売する計画だ。 しかしスクアソーニ氏によれば、現時点でこの小型モジュール原子炉は「すべて理論」であり、実際に電力を生成して販売するまでには長く高額な道のりが待ち受けている。 米国の最近の原子炉新設の取り組みは遅延とコスト超過に悩まされている。ウクライナでの戦争をきっかけにロシアからの濃縮ウラン輸入が制限され、新たな原子炉を稼働させる十分な燃料の入手にも苦労している。