激震!吉田麻也に続き冨安健洋まで負傷辞退の緊急事態…”最終ライン崩壊危機”の森保JはW杯最終予選を戦えるのか?
アジア最終予選の6割にあたる6試合を終えた段階で、日本の総得点はわずか「5」にとどまっている。6チームで争われるグループBでは最下位のベトナム代表の「4」に次いで少なく、27日に対戦する中国の「7」の後塵も拝している。 実際にオマーン代表との初戦、サウジアラビアとの第3戦ではともに0-1で敗れている。それでもカタール行きの切符を無条件で手にできる2位につけているのは、総失点を首位サウジアラビアと並ぶ最少の「3」にとどめているからだ。 森保監督も得点力不足を認めた上で、ここまであげた4勝のうち3つを1-0で制した原動力になってきた守備陣に対して、最大級の評価を与えていた。 「確かに点差は開いていませんが、対戦相手にチャンスを作らせない部分においては、1点差でも寄り切り、勝ちきれる強いチームとして成長していると思っています」 森保ジャパンの武器となった堅守を支えてきたのが、最終予選の全6試合にフル出場してきた吉田と5試合フル出場の冨安が形成する、高さと強さ、巧さ、そしてヨーロッパの戦いにおける濃密な経験を兼ね備えるセンターバックコンビだった。 正念場を迎えるアジア最終予選で、最強コンビを初めて同時に欠いて戦う。しかし、時は待ってくれない。2019年1月のアジアカップから吉田と冨安でほぼ固定されてきたセンターバックを、中国戦までの短期間で再編成しなければいけない。 追加招集された中谷を含めた候補は4人。ワールドカップ・アジア2次予選が始まった2019年9月以降のA代表における実績は、植田直通(27・ニーム・オリンピック)の9試合・632分が最多で、中谷の3試合・206分、板倉滉(24・シャルケ)の2試合・180分、谷口彰悟(30・川崎フロンターレ)の2試合・161分と続いている。
実績だけを見れば、ロシアワールドカップ代表でもある植田が、吉田と冨安に続く存在となる。しかし、アーセナルへの移籍手続きで冨安が欠場したオマーンとの初戦で吉田とコンビを組んで先発するも、背後を突いてきた相手選手の存在を把握できず、最後はノーマークで決勝ゴールを決められる痛恨のボーンヘッドを犯している。 ボランチでもプレーできる板倉は、昨夏の東京五輪で3試合、延長戦を含めた計300分にわたって、オーバーエイジの吉田とセンターバックを組んで先発フル出場した。 今シーズンから期限付き移籍している、ブンデスリーガ2部のシャルケでも3バックの真ん中に定着。ドイツ誌『キッカー』が選出する、前半戦のセンターバック部門で堂々のリーグ1位に輝いた。同誌は板倉をこう評価している。 「エレガントな動きと広い視野を示しながら、本職の守備でも容赦なく激しさを見せた。シャルケの3バックに安定感を与え、さらにビルドアップでも貢献した」 もっとも、J1連覇を達成した川崎の最終ラインをけん引した谷口を含めて、実戦で4バックのセンターバックを形成した経験があまりにも少ない。植田と板倉は1試合・45分で、大津高(熊本)の先輩・後輩である谷口と植田が2試合・161分。谷口と板倉のコンビはゼロで、中谷も21日の流通経済大とのトレーニングマッチの前半45分で谷口と組んだだけだ。 序列に基づいてメンバーを固定し、チームを熟成させてきた森保監督の頑ななアプローチが、結果として不測の事態に備えた選択肢を用意させなかった。吉田に続く冨安の離脱は想定外だったかもしれないが、だからといって言い訳は許されない。 グループBは無敗をキープするサウジアラビアが勝ち点16で首位を快走し、4ポイント差の2位に日本、さらに1ポイント差の3位にオーストラリア代表が続く。3月に敵地で待つオーストラリアとの直接対決を優位な形で迎えるためにも、どのような状況であってもホーム2連戦で勝ち点を取りこぼす戦いは許されない。 24日からは中国戦へ向けたキャンプがスタートする。限られた時間のなかで、顔ぶれが一変するセンターバックコンビの最適解を見つけられるかどうか。7大会連続7度目のワールドカップ出場へ、森保ジャパンに難題が突きつけられた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)