米大統領選の真の勝者:暗号資産業界
2024年の米大統領選は暗号資産業界にとって大きな転換点となった。暗号資産推進派のトランプ氏はアメリカを「地球上の暗号資産の中心地」にすると述べ、執行による規制から、より明確で予測可能性の高い規制フレームワークへの移行に道筋をつけ、暗号資産のメインストリームへの普及とイノベーションを促進するとクリストファー・パーキンズ(Christopher Perkins)氏は述べている。 ● 暗号産業にとって、2024年の選挙はゲーム・チェンジャーとなった。287人の「暗号資産推進派」の議員と、アメリカを「地球上の暗号資産の中心地」にすると宣言した次期大統領の誕生により、暗号資産業界はメインストリームへの普及に向けて加速する。 市場参加者がその潜在的インパクトを受け止めているなかで、1つ確かなことがある。それは「執行による規制」から、明確で透明性が高く、予測可能なルールが優先される規制体制への転換が、この分野の可能性を大きく解放することだ。その結果、必然的な規制リスクの軽減は、新たな市場、商品、アプリケーションへの扉を開く。新しい環境下で成長が期待される分野をいくつか紹介しよう。 DeFi(分散型金融):DeFiは、最もエキサイティングな暗号資産によるイノベーションの1つで、アプリケーションが「スマートコントラクト」を展開して、仲介者をリプレースし、トレーディングや借入・貸出など、さまざまな金融サービスへのユニバーサル・アクセスを提供する。これまでのところ、規制当局は仲介者の必要性を主張しており、DeFiの根本的なイノベーションを阻害している。 しかし、好ましい規制環境が整えば、この状況は変わる。明確な規制フレームワークが整えば、トークン保有者がコンプライアンスを遵守しつつ、プロトコルの収益を共有する道が開ける可能性もある。これは業界参加者が長年求めてきたものだ。 AI(人工知能):AIは指数関数的に加速しており、AI「エージェント」が予想よりも早く登場したことで、暗号資産とAIの統合によって実現されるオープン性、透明性、スケール、さらには「本人性の証明(Proof of Personhood)」は、双方のテクノロジーの責任あるイノベーションへの道を開く可能性がある。 債券市場:金利は伝統的金融市場の根幹。新興の債券市場は、規制面での問題がほぼなくなった金融機関がグローバルな暗号資産市場に参入するなかで、成長が期待されている。イーサリアムステーキングのCESR(Composite Ether Staking Rate)」や無期限スワップの資金調達率といったベンチマーク利回りが、5000兆ドル規模の金利スワップ市場のユーティリティを暗号資産に持ち込み、ヘッジ投資家や投機家の関心を引くだろう。 ユーティリティトークン:SEC(米証券取引委員会)の「執行による規制」のもとでは、ユーティリティを持つトークンもしばしば規制対象となった。その結果、ユーティリティを持たないミームコインが盛り上がることとなった。規制環境が改善されれば、市場が再びユーティリティに注目する可能性があり、さらなるメインストリームへの普及を促進する可能性がある。 分散型物理インフラ(DePIN):DePINは、トークンのインセンティブを利用して、大規模なコミュニティ参加を促進し、大規模な分散型物理ネットワークの構築を可能にする。通信、地図作成、コンピューティング、およびジオロケーションといった分野で、こうしたネットワークは、中央集権型の仕組みよりもスケーラブルで、コスト効率の良いソリューションを提供している。 第2期トランプ政権と超党派で暗号資産推進派の議会は、暗号資産業界にとって新たな時代の幕開けとなるだろう。イノベーションを阻害するのではなく、それを奨励する規制環境は、ついに機関投資家に市場参入への確信をもたらす。そして起業家は、もはや規制による制裁や個人責任の脅威に縛られることなく、開発に専念できる。 未来は、これ以上なく明るい。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Joshua Earle/Unsplash+|原文:The Real Winner of the 2024 Elections: The Crypto Industry
CoinDesk Japan 編集部