“バンス首相”誕生?「チェイニー以来最強の副大統領」になるのか…トランプ氏が妬んでも罷免する権限なし
「チェイニー以来の最も強力な副大統領に」
米国の副大統領は大統領の「スペア」的な存在で、儀礼的な行事に参加することが主な任務と考えられてきたが、バンス氏は例外的な副大統領になると言われるようになってきた。 「“J.D.バンス首相”はチェイニー以来の最も強力な副大統領になりそうだ」 英紙「テレグラフ」電子版は9日、こんな表題の記事を掲載した。 もちろん米国には首相職はない。しかし齢78歳のトランプ大統領の下、40歳の副大統領が代わって行政を差配する場面が増え、幅広い職権を行使する英国の首相のような存在になるのではないかと同紙は推測する。それでバンス氏は、トランプ政権の地盤を固めるだけでなく、後継者としての自らの政治的地盤を固めることになるというのだ。 また同紙が引用した「チェイニー」とは、ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で2001年~2009年副大統領を務めたディック・チェイニー氏のことで、イラク戦争を主導するなど大統領に代わっていわゆるネオコン路線を踏襲して「米国史上最強の副大統領」と言われた。 バンス氏がそのチェイニー氏のように指導性を発揮できるかどうかは、ひとえにトランプ氏のバンス氏への信頼にかかっていると言えるだろう。配下に厳しく忠誠を求めるトランプ氏のことなので、バンス氏に少しでも自分を差し置いて次期大統領を目指す気配を感じたら、いっぺんに冷遇することは容易に想像できる。 しかし、米国の大統領には副大統領を罷免する権限はない。その一方で副大統領は「大統領がその職務上の権限及び義務を遂行できない」と判断された時は、直ちに大統領職を代行すると連邦憲法修正25条は規定していて、むしろ副大統領の方が立場が強いとも言える。このため例えバンス氏がトランプ氏の妬みを買っても、政権から追われることはないと考えられる。 アパラチア山脈の寒村で赤貧の暮らしから身を立てた「苦労人」のバンス氏としては、そうしたことがないよう気配りができると考えられるが、今後ホワイトハウス内のバンス氏をめぐる動向からは目を離せない。 【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】 【表紙デザイン:さいとうひさし】
木村太郎
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